相関×勝ち筋検証2026-06-27 公開
機械受注と相関が高い株は勝てたのか?FA・工作機械8銘柄を20年検証
「FA関連株は機械受注で動く」と言われます。では機械受注と相関が高い株を買っていたら、市場平均に勝てたのか。2005年からのデータで検証すると、相関も高く市場平均を上回った銘柄がある一方で、相関は高いのに勝てなかった銘柄もありました。相関・買っていた場合の成績・勝てた条件・負けたパターンを、順に見ます。
| わかること | わからないこと |
|---|---|
| 過去に市場平均を上回った銘柄 | 今後上がる銘柄 |
| 機械受注と相関が高かった銘柄 | 現在買うべき銘柄 |
| 強かった局面・弱かった局面 | 個別の売買タイミング |
| 相関だけで買う罠(下落しやすかった条件) | 空売りを勧める銘柄 |
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 検証テーマ | 機械受注と相関が高いFA・工作機械株は、買っていたら市場平均に勝てたか |
| 相関も市場超過もあり | 牧野フライス・オークマ |
| 相関は高いが市場超過は弱い | ファナック・DMG森精機 |
| 相関は低いが市場超過あり(別要因) | 安川電機・キーエンス |
| 市場超過が出やすかった局面 | 機械受注が悪化・底ばいの局面 |
| 注意点 | 同業に集中するため、急落局面では一斉に下げやすい |
機械受注は単独の買いサインではなく、FA銘柄を仕分けるフィルター。相関上位でも、市場平均を上回った本命(牧野・オークマ)と、相関は高いのに弱い罠(ファナック・DMG森精機)に分かれました。
まずは表の〈判定〉〈平均超過〉〈最悪年〉の3つだけ見ればOK。用語は用語ミニ辞書へ。「勝てた」=市場平均を上回った意味で、儲かったとは限りません。
① 相関上位8銘柄を買っていたら、市場平均に勝てたのか
結論から見ます。機械受注と相関が高いFA・工作機械8銘柄を、毎年1月に等金額で買って1年保有した場合(2005〜2025年・21年)の成績です。比較する「市場平均」は、当サイトの検証対象199社を等金額で保有した場合の平均で、TOPIXや日経平均ではありません。
| 銘柄 | 機械受注 との相関 | 市場平均に 勝った年 | 市場との差 (年・平均) | いちばん下げた年 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 安川電機 | 0.28 | 10/21 | +9.3% | 2008年 ▲70% | 相関は低いが市場超過あり |
| 牧野フライス | 0.41 | 8/21 | +4.3% | 2008年 ▲69% | 相関も市場超過もあり |
| キーエンス | 0.26 | 10/21 | +3.2% | 2008年 ▲26% | 相関は低いが市場超過あり |
| オークマ | 0.44 | 6/21 | +2.5% | 2008年 ▲68% | 相関も市場超過もあり |
| DMG森精機 | 0.33 | 9/21 | ±0% | 2008年 ▲61% | 相関は高いが市場超過は弱い |
| ファナック | 0.40 | 11/21 | −1.5% | 2008年 ▲41% | 相関は高いが市場超過は弱い |
| SMC | 0.22 | 9/21 | −1.5% | 2018年 ▲33% | 機械受注では説明しにくい |
| THK | 0.31 | 9/21 | −2.9% | 2008年 ▲44% | 機械受注では説明しにくい |
相関が高い=市場平均に勝てた、ではありませんでした。相関0.44で最上位のオークマは市場超え6/21・平均+2.5%にとどまり、相関0.40のファナックはむしろ平均で市場を下回っています。逆に、最も市場を上回った安川電機(年+9.3%)の機械受注との相関は0.28と低い方です。

② なぜこの8銘柄なのか——機械受注との相関ランキング
そもそも「機械受注と相関が高い株」は何を根拠に選んだのか。前年同月比どうしの相関(2005〜2026年)で並べると、こうなります。
| 銘柄 | 全期間 | コロナ除外 | 事業の性格 |
|---|---|---|---|
| オークマ 6103 | 0.44 | 0.44 | 工作機械専業 |
| 牧野フライス 6135 | 0.41 | 0.41 | 工作機械専業 |
| ファナック 6954 | 0.40 | 0.40 | NC装置・ロボット |
| DMG森精機 6141 | 0.33 | 0.31 | 工作機械(グローバル) |
| THK 6481 | 0.31 | 0.33 | 直動部品 |
| 安川電機 6506 | 0.28 | 0.28 | サーボ・ロボット |
| キーエンス 6861 | 0.26 | 0.30 | センサー(高収益多角化) |
| SMC 6273 | 0.22 | 0.28 | 空圧機器(グローバル) |
専業寄りの工作機械メーカーほど、機械受注と連動しやすい傾向でした。国内設備投資に業績が直結する専業(オークマ・牧野)ほど統計と一緒に動き、海外比率が高い・事業が多角化した企業(キーエンス・SMC)ほど連動が弱い——事業構造そのままの序列です。これは銘柄の事業構造を理解する材料であり、売買判断を促すものではありません。
③ 相関 × 市場超過(4象限で見る)
相関の高さと「市場平均に勝てたか」は別物でした。掛け合わせると、4つに分かれます。
| 市場平均を上回った | 市場平均を上回らなかった | |
|---|---|---|
| 相関が高い(上位4) | 検証上の本命:牧野・オークマ | 罠ゾーン:ファナック・DMG森精機 |
| 相関が低い(下位4) | 別要因ゾーン:安川・キーエンス | 機械受注では説明しにくい:THK・SMC |
注目すべきは左上(相関も高く、市場平均にも勝てた)。逆に罠ゾーンのファナックは、相関0.40と高いのに市場超過はマイナス=「相関が高いから」という理由だけで選ぶと外す典型です。そして安川・キーエンスは相関が低いのに市場を上回っており、その上昇は機械受注ではなく別の要因(ロボット・高収益)によるものでした。この相関 × 市場超過の見方が、当サイトの軸です。
「罠ゾーン」は売り候補ではありません。相関だけで銘柄を選ぶと過去に市場平均を下回ることがあった、という注意ゾーンを指します(避ける・保有を点検する材料であって、空売りを勧めるものではありません)。
④ 市場超過が出やすかったのは、どんな局面か
同じ8銘柄でも、買った年の「機械受注の局面」で結果が大きく変わりました。
| 機械受注の局面 | 市場平均を上回った割合 |
|---|---|
| 改善局面 | 31%(25/80) |
| 悪化・底ばい局面 | 54%(39/72) |
過去データでは、機械受注が「改善してから」よりも「悪化・底ばい」の局面の方が、市場平均を上回る割合が高くなりました。受注の改善が確認されるころには、株価が先に織り込んでいるケースがあるためです。ニュースで「機械受注が改善」と聞いてから順張りで入ると、すでに高値、という構図です。
割合は8銘柄×該当年の観測数(計152)ベース。横ばい・判定不能の年(2005〜2006など)は除外。局面の判定には、買付時点で公表済みの最新データ(対象月の約2.5ヶ月後に公表されるため、1月買付なら前年10月分まで)のみを使用しており、買付時点で未公表の数値は使っていません(先読み防止)。
⑤ 相関が高くても市場に勝てなかったパターン
- 改善を確認してからの順張り=高値づかみ(改善局面の市場超過は31%まで下がる)。
- 景気が急落する局面=2008年のように8社が一斉に▲40〜70%。同じ機械受注で動く銘柄をいくら並べても、下げ相場では一緒に落ちる(同じ波で沈む“隠れた集中”)。
- 相関の高さだけで選ぶ=ファナック・DMGのように、相関は高くても市場超過が弱い銘柄を踏む。
⑥ 今の環境を見るなら、どこを見るか
過去に市場超過が出やすかった条件に近いかは、次の3点で整理できます(“今買える”という話ではなく、過去パターンとの近さを見る視点です)。
| チェック項目 | 見るポイント | 過去の傾向との関係 |
|---|---|---|
| 機械受注の方向 | 改善/悪化/横ばい | 悪化・底ばい局面の方が、過去は市場超過の割合が高かった |
| 株価の位置 | すでに先回り済み/出遅れ | 先回り済みなら、過去は市場超過が出にくかった |
| 業種の集中 | FAばかりに偏っている/分散している | 偏っていると、急落局面で一斉に下げやすい |
まとめ:この指標の使い方
機械受注は、単独の“買いサイン”としては使いにくい結果でした。現実的なのは、相関で連動銘柄を見つけ→そのうち過去に市場平均を上回った銘柄と、相関は高いのに市場超過が弱い銘柄を分け→悪化・底ばいという市場超過の出やすかった局面まで確認する、銘柄を絞り込むフィルターとしての使い方です。今回は牧野・オークマが「相関も市場超過もあり」、ファナック・DMGが「相関は高いが市場超過は弱い」として分かれました。詳しくは全体の実証、他の指標はシミュレーターで確かめられます。
相関は高くても、先回りには使いにくい
機械受注と各銘柄の最良ラグはすべて0ヶ月(同月)でした。さらに機械受注統計は対象月から約2.5ヶ月遅れて公表されるため、発表を見てから先回りする使い方には向きません。むしろこの統計は、「FA関連」と呼ばれる銘柄のうち、どれが本当に国内設備投資サイクルの銘柄なのかを見分ける材料として使う方が現実的です。
基準日:2026年6月27日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。相関は仕分け装置であって、買いサインではありません。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:月次相関=内閣府「機械受注統計調査」船舶・電力を除く民需(原系列・月次、2005年4月〜2026年3月の252ヶ月。前年同月比変換により有効サンプルは240ヶ月)×株価(Yahoo Finance・月次・調整後終値)。「買っていたら」検証=2005〜2025年の21年・毎年1月に等金額で買い1年保有・株価のみ(配当・売買手数料・税金は含まず)。「市場平均」=当サイト検証対象199社を等金額で保有した平均(TOPIX・日経平均ではありません)。局面判定は買付時点で公表済みの最新月までに限定(先読み防止)。基準日2026-06-27。