統計検証2026-07-11 公開

ペットフード支出が増えても、ペット関連株は上がらない——家計調査×ペット3銘柄を実測

「少子高齢化でペット関連消費は伸びている」という見立てはよく聞く。では家計のペットフード支出(家計調査・二人以上世帯)とペット関連株の値動きは実際に連動しているのか。ペットフードメーカーの日本ペットフード(2922)、ペット保険のアニコムホールディングス(8715)、ペットEC・繁殖仲介のPetGo(7140)の3銘柄で実測した。直接の当事者であるはずの日本ペットフードはr=-0.11でほぼ無相関。最も連動したのはペットフードと直接関係のないペット保険のアニコムHDで、それでもr=+0.23(当サイト基準で「弱い傾向」)にとどまった。

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検証方法

⚠️ 銘柄ごとに株価データの重なりが異なる。日本ペットフードはn=285(full)。アニコムHDは2010年3月以降でn=183。PetGoは2023年4月以降のみ取得可でn=38(参考値。n<60は当サイトでは参考値として扱う)。

実測結果

銘柄コードr(full)ラグnr(COVID除外)ラグn
日本ペットフード2922-0.112ヶ月285-0.122ヶ月261
アニコムホールディングス8715+0.230ヶ月183+0.210ヶ月159
PetGo7140+0.321ヶ月38+0.321ヶ月38

※ PetGo(7140)はn=38(参考値。n<60のため確定的判断は留保)。

ペットフードそのものを作っている日本ペットフードが、ペットフード支出のYoYと最も連動していないという逆説的な結果になった。3銘柄のうち当サイト基準の「連動あり」(|r|≧0.40)に達したものは一つもない。

なぜ「当事者」ほど効かないのか

日本ペットフードは複数ブランドのペットフードに加え、動物用医薬品・化成品なども手掛ける複合企業で、家計調査の「ペットフード」という単一品目の支出額とは市場の範囲がそもそも一致しない。家計調査は全ブランド・全チャネル(スーパー・ドラッグストア・EC)の合計であり、一社の売上シェアの変動を代表しない。加えて株価は月次の需要スイングよりも、四半期決算・原材料コスト・為替など別の要因で動く比重が大きい。ペットフードは生活必需品に近く相場も安定しているため、月ごとの支出増減が同社の収益に大きく効きにくいことも一因と考えられる。

一方、最も連動が高かったアニコムHDは月額課金型のペット保険というビジネスモデルで、ペットフードの需給とは直接関係しない。r=+0.23という弱い正の相関は、「ペットフード支出とアニコムHDの株価が互いに動かし合っている」というより、両者がともに家計の可処分所得・消費マインドという共通要因に緩く反応している可能性のほうが説明として自然だ。PetGoのr=+0.32は数値としては3銘柄中最大だが、上場からまだ3年強でn=38(参考値)にとどまり、小型成長株特有の値動きの大きさが相関係数を押し上げている可能性も否定できない。

もしこの数字を使おうとしたら

「ペットフード支出が伸びた月にペット関連株を買う」という発想が仮に浮かんでも、直接の当事者である日本ペットフードはむしろ弱いマイナス方向で、支出増の月に株価が上がりやすいわけではない。当サイト基準で唯一「弱い傾向」に届いたアニコムHDにしてもr=0.23で、ラグ0(同月)のため事前に使える先行指標にもならない。最悪ケースとして読むなら、「ペット経済拡大」というマクロなテーマ性と、個別のペット関連株の月次値動きは切り離して考えるべき、というのがこの実測の結論になる。

データの制約と注意

基準日:2026年7月11日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:家計調査(総務省統計局)品目分類別支出金額・ペットフード(二人以上の世帯・全国)e-Stat API 3.0 statsDataId=0004023601、cdCat01=090204030、cdCat02=03。2001年1月〜2026年5月。株価: Yahoo Finance(月次調整後終値)。測定: 2026年7月11日。

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