過去連動あり2026-06-14 公開

「銅は景気の博士(Dr.Copper)」は本当か——銅先物×非鉄・電線株5銘柄で実測

「銅は景気の博士(Dr.Copper)」——銅価格は世界景気の体温計だという定番の言説があります。銅は建設・インフラ・家電・自動車など幅広い用途に使われるため、需要が増えれば世界景気が好調、という発想です。大手メディアでも繰り返される通説ですが、当サイトは一次データで実測して初めて「本当かどうか」を判断します。本記事では銅先物(Yahoo Finance・HG=F)の月次YoYと、非鉄・電線株5銘柄の株価YoYを同月で照合しました。関連として、銅カナリア記事(銅×日経=温度計)が日経との連動を検証していますが、本記事は非鉄・電線個別株版として連動辞書に登録します。

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検証方法

結果:非鉄株は素直に連動、電線株は中程度

銘柄(業種)全期間 同月コロナ除外分類
住友鉱山(5713)+0.624(n=212)+0.604非鉄・鉱業
三菱マテリアル(5711)+0.508(n=212)+0.545非鉄
住友電気工業(5802)+0.374(n=212)+0.365電線
フジクラ(5803)+0.325(n=212)+0.317電線
古河電気工業(5801)+0.260(n=212)+0.269電線
銅先物YoYと5銘柄の株価YoYの全期間同月相関。住友鉱山+0.624・三菱マテリアル+0.508と採掘・製錬側は素直に連動。電線株(住友電工/フジクラ/古河電工)は材料側で中程度+0.26〜+0.37。全lag0=同月=先行ではなく一致指標(先回り不可)。
銅先物YoYと5銘柄の株価YoYの全期間同月相関。住友鉱山+0.624・三菱マテリアル+0.508と採掘・製錬側は素直に連動。電線株(住友電工/フジクラ/古河電工)は材料側で中程度+0.26〜+0.37。全lag0=同月=先行ではなく一致指標(先回り不可)。

非鉄(採掘・製錬)の住友鉱山+0.624・三菱マテリアル+0.508は当サイトの基準(|r|≧0.40)を超え、判定は「過去連動あり」です。電線株3社は+0.26〜+0.37で中程度。出典:銅先物 Yahoo Finance(HG=F・月次)、株価Yahoo Finance、相関は当サイト算出(YoY×YoY同月)。基準日2026-06-14。

なぜ非鉄株が連動するのか(見立て)

住友鉱山・三菱マテリアルは銅の採掘・製錬が本業です。銅価格が上がれば直接的に収益が増え、株価もそれを映します。銅を世界市場から買ってくる側であるため、「銅価格が景気を映す → その銅の採掘・製錬株も景気を映す」という伝達経路がシンプルです。

ただしこれは「見立て(仮説)」です。実際には銅以外の金属(ニッケル・金など)の価格動向、為替、個社の生産体制なども影響します。

電線株はなぜ中程度か(見立て)

住友電気工業・フジクラ・古河電気工業は銅を材料として使う側です。銅価格が上がると、材料コストが増加します。一方で製品価格への転嫁が遅れることもあり、採掘・製錬側ほど素直に銅価格と連動しません。

⚠️ただしフジクラについては、近年データセンター向け光ファイバーや電力インフラ需要という別要因も業績に影響していると見られます(あくまで見立てです)。電線株3社の+0.26〜+0.37は「連動あり」の基準には届かない水準です。

最重要:「先行でなく同月一致」——先回りはできない

全5銘柄でlag0(同月)が最強でした。これは銅価格が動く月にすでに非鉄・電線株も動いていることを意味します。「銅先物が上がったら翌月に非鉄株を買う」という先回りの使い方はデータで支持されません

銅価格と非鉄株は「同じ世界景気の動きを同時に反映している」のです。当サイトが繰り返してきた「観測値は先行しない」という知見は、この教科書的なペアでも変わりません。

コロナ除外でも結論は変わらない

2020〜2021年のコロナ期を除外しても、非鉄2社の連動は頑健です。住友鉱山(+0.624→+0.604)・三菱マテリアル(+0.508→+0.545)——コロナを除いても+0.5以上の水準を維持します。コロナの大振れに支えられた見かけの数字ではありません。

結論

「銅は景気の博士(Dr.Copper)」という定番は、非鉄(採掘・製錬)株では本当でした。住友鉱山+0.624・三菱マテリアル+0.508で連動。電線株は材料を使う側で+0.26〜+0.37の中程度。ただし先行でなく同月一致であり、先回りには使えません。銅は非鉄株の「温度計」として機能しており、世界景気と非鉄株のどちらを見ても同じ方向に動いている確認手段としての価値があります。

基準日:2026年6月14日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:銅先物(HG=F):Yahoo Finance・月次・前年比(YoY)。株価:Yahoo Finance(調整後終値・月次YoY)。相関は当サイト算出(YoY×YoY・ラグ0〜6走査・全銘柄でlag0=同月が最強または同水準)。期間は約2001年〜2026年・n=212。基準日2026-06-14

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