相関×勝ち筋検証2026-06-14 公開 ・ 2026-06-28 改訂

香港ハンセン指数と日本株9銘柄の過去相関を確認する——香港ハンセン指数×9銘柄で実測

「中国経済が悪くなると日本株も下がる」——よく耳にする言説です。中国は日本の主要貿易相手国であり、設備投資・インフラ需要・消費の変動が日本企業の業績に影響するという発想です。当サイトは一次データで実測して初めて「本当かどうか」を判断します。本記事では香港ハンセン指数(Yahoo Finance・^HSI)の月次YoYと、中国エクスポージャーが異なる日本株9銘柄の株価YoYを同月で照合しました。「中国で稼ぐ株」と「内需株」のどちらが効くかを数字で見ていきます。上海総合(A株)ではなく香港ハンセンを使う理由も末尾に記します。

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このページでわかること/わからないこと
わかることわからないこと
過去に市場平均を上回った中国景気敏感株今後上がる銘柄
香港ハンセン指数と相関が高かった銘柄現在買うべき銘柄
連動の強さと市場超過が一致しなかったこと個別の売買タイミング
相関だけで選ぶ罠(連動No.1のファナックが市場超過マイナスだった実証)空売りを勧める銘柄
先に結論(過去検証)
項目結果
検証テーマ香港ハンセン指数と相関が高い日本株9銘柄は、買っていたら市場平均に勝てたか
相関も市場超過もあり(検証上の本命)安川電機(+9.3%)・伊藤忠商事(+8.6%)・コマツ(+7.3%)・三菱商事(+7.0%)・ダイキン(+0.8%)
相関は高いが市場超過は弱い(罠ゾーン)ファナック(−1.5%)※連動No.1なのに市場超過マイナス
相関は低いが市場超過あり(別要因)ファストリ(+6.4%)
説明しにくい資生堂(−6.2%)・OLC(−0.4%)
注意点中国景気敏感株は2008年に▲38〜70%の一斉下落(安川▲70%・コマツ▲62%)
📌 今日の持ち帰り
中国経済と日本株の連動は本物。でも連動の強さと市場超過は別物です。中国設備投資との連動No.1のファナック(+0.603)はむしろ市場超過−1.5%の罠で、市場平均に最も多く勝ったのは相関4位の伊藤忠(17/21年・+8.6%)でした。「中国で稼ぐ株」でも本命と罠に分かれます。
まずは表の〈判定〉〈平均超過〉〈最悪年〉の3つだけ見ればOK。用語は用語ミニ辞書へ。「勝てた」=市場平均を上回った意味で、儲かったとは限りません。

検証方法

結果:建機・FA・商社は+0.5前後で連動、中国消費は中程度、内需株は無関係

銘柄(業種)全期間 同月コロナ除外備考
ファナック(6954・FA)+0.603(n=306)+0.604中国設備投資
コマツ(6301・建機)+0.594(n=294)+0.584中国インフラ
伊藤忠商事(8001・商社)+0.537(n=306)+0.542
安川電機(6506・FA・ロボット)+0.526(n=306)+0.524
ダイキン(6367・空調)+0.432(n=306)+0.446
三菱商事(8058・商社)+0.429(n=306)+0.422
資生堂(4911・化粧品)+0.289(n=306)+0.269中国消費・中程度
ファストリ(9983・小売)+0.239(n=306)+0.216中国消費・中程度
OLC(ディズニー)(4661・レジャー)−0.006(n=306)−0.015内需=中国無関係(対照)
香港ハンセン指数と日本株9銘柄の過去相関を確認する——香港ハンセン指数×9銘柄で実測を表すグラフ
香港ハンセン指数YoYと9銘柄の株価YoYの全期間同月相関。ファナック+0.603・コマツ+0.594と建機・FA株が上位。伊藤忠+0.537・安川+0.526・ダイキン+0.432・三菱商事+0.429も連動あり。資生堂+0.289・ファストリ+0.239は中程度。内需対照のOLC-0.006は完全無関係。全lag0=同月=先行ではなく一致指標(先回り不可)。

ファナック(6954)+0.603・コマツ(6301)+0.594・伊藤忠+0.537・安川電機+0.526・ダイキン+0.432・三菱商事+0.429——6銘柄が当サイトの目安(|r|≧0.40)を超え、判定は「過去連動あり」です。出典:香港ハンセン指数 Yahoo Finance(^HSI・月次)、株価Yahoo Finance、相関は当サイト算出(YoY×YoY同月)。基準日2026-06-14。

なぜ建機・FA株がトップか(見立て)

ファナック・コマツ・安川電機・ダイキンは中国での設備投資・インフラ建設に直接需要が連動する業種です。中国の景気が良ければ工場建設・工作機械・産業ロボット・空調の需要が増え、これらの企業の受注が伸びます。ハンセン指数が映す「中国の景気・投資家マインド」と収益の伝達経路がシンプルです。

ただしこれは「見立て(仮説)」です。実際には為替・日本国内需要・グローバルサプライチェーンなど他要因も影響します。

商社が+0.4〜+0.5台に入る理由(見立て)

伊藤忠・三菱商事は中国向け資源・食料・素材の取引が大きく、中国の景気動向が商社の収益に影響します。FA・建機ほど直接的ではないものの、+0.5前後の連動水準に達しています。

中国「消費」株は中程度にとどまる理由(見立て)

資生堂(+0.289)・ファストリ(+0.239)は中国での販売・インバウンド需要を持ちますが、設備投資ほど直接的に中国景気に連動しません。中国消費は政策・競合・ブランド力など複合要因で動き、景気指数との相関が薄れます。

内需株OLCはなぜ-0.006か(対照)

OLC(東京ディズニーランド運営)の業績は日本国内の集客・入場料・物販で決まります。中国の景気動向とは経路がなく、-0.006という数字はほぼ完全な無相関です。「日本株全体が中国に連動する」のではなく、中国で稼ぐ株だけが連動するという分類の重要性を示す対照です。

なぜ上海総合でなく香港ハンセンか

上海総合指数(A株)は外資の参入規制が厳しく、国内投資家・政策介入の影響が強い指数です。一方、香港ハンセン指数はグローバルな機関投資家が取引し、中国本土の経済実態をより素直に映すとされます。当サイトでは一次データとして^HSI(Yahoo Finance)を採用しています。

最重要:「先行でなく同月一致」——先回りはできない

全9銘柄でlag0(同月)が最強でした。これはハンセン指数が動く月にすでに日本株も動いていることを意味します。「ハンセン指数が先月上がったから今月建機株を買う」という先回りの使い方はデータで支持されません

ハンセン指数と日本の景気敏感株は「同じ中国・世界景気のリスク選好を同時に反映している」のです。

コロナ除外でも結論は変わらない

2020〜2021年のコロナ期を除外しても、建機・FA・商社の連動は頑健です。ファナック(+0.603→+0.604)・コマツ(+0.594→+0.584)・伊藤忠(+0.537→+0.542)——コロナの大振れを除いても+0.5以上の水準を維持します。コロナの共振に支えられた見かけの数字ではありません。

相関の結論:中国で稼ぐ株は連動する(連動の有無)

まず連動の面では、「中国経済と日本株は連動する」という通説は建機・FA・商社・空調株では本当でした。ファナック+0.603・コマツ+0.594・伊藤忠+0.537・安川電機+0.526・ダイキン+0.432・三菱商事+0.429——6銘柄が連動基準を超えます。一方、中国消費株(資生堂・ファストリ)は中程度(+0.2〜+0.3)、内需株のOLC(ディズニー)は-0.006で完全無関係です。「日本株」と一括りにせず、中国で設備投資・インフラを稼ぐ株かどうかで連動の有無が分かれます。全銘柄lag0=同月一致であり、先行指標としては使えません。

この9銘柄を買っていたら、市場平均に勝てたのか

香港ハンセン指数と相関が高いこの9銘柄を、毎年1月に等金額で買って1年保有した場合(2005〜2025年・21年)の成績です。比較する「市場平均」は、当サイトの検証対象199社を等金額で保有した平均で、TOPIXや日経平均ではありません。平均超過(各年の株リターン−市場平均の平均)がプラスかどうかで判定します。

銘柄ハンセン
との相関
市場平均に
勝った年
市場との差
(年・平均)
いちばん下げた年判定
ファナック(6954・FA)+0.60311/21−1.5%2008年 ▲41%相関は高いが市場超過は弱い(罠)
コマツ(6301・建機)+0.59411/21+7.3%2008年 ▲62%相関も市場超過もあり
伊藤忠商事(8001・商社)+0.53717/21+8.6%2008年 ▲53%相関も市場超過もあり
安川電機(6506・FA)+0.52610/21+9.3%2008年 ▲70%相関も市場超過もあり
ダイキン(6367・空調)+0.43210/21+0.8%2008年 ▲55%相関も市場超過もあり
三菱商事(8058・商社)+0.4299/21+7.0%2008年 ▲55%相関も市場超過もあり
資生堂(4911・化粧品)+0.2899/21−6.2%2008年 ▲38%説明しにくい
ファストリ(9983・小売)+0.23913/21+6.4%2021年 ▲25%相関は低いが市場超過あり(別要因)
OLC(ディズニー)(4661・内需)−0.00611/21−0.4%2024年 ▲36%説明しにくい

「連動が強いから買えば市場に勝てる」は、成立しませんでした。中国景気との連動No.1のファナック(+0.603)は平均超過−1.5%・市場超え11/21と、市場平均をわずかに下回る罠でした。一方、相関4位の伊藤忠(+0.537)は市場超え17/21・平均超過+8.6%と最も成績がよく、安川電機(+9.3%)・コマツ(+7.3%)・三菱商事(+7.0%)も本命でした。同じ「中国で稼ぐ株」でも、連動の強さの順位と市場超過の順位は一致しません。内需株のOLC(−0.006)は中国と無関係の対照です。

伊藤忠商事を毎年1月に買って1年持った場合の成績(緑=プラスの年・赤=マイナスの年・青線=市場平均)
例:本命の伊藤忠商事は市場平均(青線)を超えた年が21年中17年・平均超過+8.6%。緑=勝ち年・赤=負け年。連動No.1のファナックより成績は上だった。

相関 × 市場超過(4象限で見る)

ハンセン指数との相関の高さと「市場平均に勝てたか(平均超過がプラスか)」は別物でした。掛け合わせると、こう分かれます。

平均超過がプラス平均超過がゼロ以下
相関が高い(|r|≧0.4)検証上の本命:コマツ・伊藤忠・安川電機・ダイキン・三菱商事罠ゾーン:ファナック
相関が低い別要因:ファストリ説明しにくい:資生堂・OLC

中国設備投資との連動が最も強いファナックが罠ゾーン、連動4〜6位の伊藤忠・三菱商事・ダイキンや建機のコマツが本命に入りました。相関の強さは「本命の入口」ではありますが、そのまま市場超過の大きさにはつながりません。内需株OLC(−0.006)は中国と無関係で、市場超過もほぼゼロ(説明しにくい)でした。

「罠ゾーン」は売り候補ではありません。相関だけで銘柄を選ぶと過去に市場平均を下回ることがあった、という注意ゾーンを指します(避ける・保有を点検する材料であって、空売りを勧めるものではありません)。

結局どう見る?
見ること意味
① 相関だけで選ばない相関が高くても市場平均に勝てない銘柄がある
② 平均超過を見る勝った年数より、平均して市場を上回ったかを見る
③ 最悪年を見る勝ち筋があっても、急落時に深く沈む銘柄がある
④ 連動最強 ≠ 成績最強相関No.1の銘柄が、市場超過でもトップとは限らない
⑤ 罠ゾーンを避ける高相関でも市場に勝てない銘柄に、飛びつかないための材料にする

中国景気との連動No.1はファナックですが市場超過はマイナスの罠で、市場平均に最も多く勝ったのは相関4位の伊藤忠(21年中17年・平均超過+8.6%)でした。使い方はシンプルです。相関で探す。平均超過で絞る。罠と最悪年で冷ます。この順番です。

基準日:2026年6月14日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。相関は仕分け装置であって、買いサインではありません。数字の読み方もあわせてご覧ください。

主要相関の検定:ファナック(6954・FA) r=+0.603(95%CI [+0.525, +0.671]、n=294、p<0.001)。古典的Pearson両側検定で、月次YoYの系列相関や多重検定は未調整のため目安です。相関≠因果・多重検定

出典:香港ハンセン指数(^HSI):Yahoo Finance・月次・前年比(YoY)。株価:Yahoo Finance(調整後終値・月次YoY)。相関は当サイト算出(YoY×YoY・ラグ0〜6走査・全銘柄でlag0=同月が最強または同水準)。期間は約2001年〜2026年・n=294〜306。基準日2026-06-14 ※銘柄により株価データの取得可能期間が異なるため、n数は銘柄ごとに異なります。

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