連動検証2026-06-19 公開

外国人延べ宿泊者数と鉄道系ホテル株の相関検証——インバウンド宿泊統計は連動の先行指標になるか

訪日外国人の「泊数」はホテル運営の収益を直接押し上げる統計と思われがちです。鉄道系大手(阪急阪神・近鉄・東急・名鉄)はいずれもホテル事業を持ち、インバウンド需要の取り込みが期待されます。では「外国人延べ宿泊者数」の前年比は実際に株価と連動してきたのか。観光庁「宿泊旅行統計調査」の月次データ(2007〜2026年)で検証しました。

出典リンクつきでコピーします

検証の設計

測定結果

全銘柄の重なりnは194〜219ヶ月(約16〜18年分)。

銘柄(コード)r(全期間)最適ラグn(月)r(コロナ除外)n判定
阪急阪神HD(9042)+0.254ヶ月218+0.22194弱い(正方向)
近鉄グループHD(9041)+0.230ヶ月219+0.21195弱い(正方向)
東急(9005)+0.112ヶ月219+0.08195ほぼ無相関
名鉄(9048)+0.090ヶ月219+0.07195ほぼ無相関
KNT-CT HD(9726)−0.136ヶ月216−0.13192弱い(逆方向)
パーク24(4666)−0.106ヶ月216−0.13192弱い(逆方向)

何が分かったか

外国人延べ宿泊者数と鉄道系ホテル株の相関は、全銘柄で|r|≦0.25にとどまります。「宿泊インバウンドが増えれば関連株が連動して上がる」という直感的な連想は、過去データで強くは支持されません。

阪急阪神HD・近鉄グループHDで弱い正の相関(r≒+0.23〜+0.25)が見られますが、中程度(|r|≧0.3)には届きません。これらの会社は不動産・流通・金融など多角的な事業を持つため、「ホテル部門単体の需要増」が株価全体に波及しにくい構造が影響していると考えられます。

東急・名鉄は正方向ながらr≒+0.09〜+0.11と実質ゼロ相関。旅行業のKNT-CTやパーク24は弱い逆相関となりましたが、ラグ6ヶ月(最適)での値であり、解釈の安定性は低いです。

なお「訪日外客数」(入国者数統計)は別の記事(インバウンド関連株との連動検証)でより詳細に検証しています。延べ宿泊者数と入国者数は相関が高く、統計としての差別化は限定的である点も、結果の弱さの一因である可能性があります。

通説検証まとめ

この指標の限界と注意点

基準日:2026年6月19日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:統計:観光庁「宿泊旅行統計調査」延べ宿泊者数(外国人)、e-Stat Dashboard(月次)。株価:Yahoo Finance 月次調整後終値。測定期間:2007年1月〜2026年3月(各銘柄と統計の重なり期間)。

関連する検証

← トップに戻る