過去連動あり2026-06-10 公開

訪日外客数と一緒に動く株はどれか——23年分のデータで測った

JNTO(日本政府観光局)が毎月15〜20日頃に公表する訪日外客数。「インバウンド関連株」と呼ばれる銘柄は本当にこの統計と連動しているのか、2003年からの23年分・280ヶ月のデータで検証しました。

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検証方法

結果:百貨店・ドンキ・JR東は連動、資生堂は意外にも弱い

銘柄2024年以降
(n=28)
コロナ前16年
(n=192)
全期間コロナ除外
(n=220)
PPIH(ドンキホーテ)75320.690.270.31
三越伊勢丹HD 30990.530.370.41
JR東日本 90200.430.39
Jフロント 30860.400.38
高島屋 82330.380.35
資生堂 49110.300.14
訪日外客数とインバウンド関連株の同月相関。コロナ前16年(n=192)で0.4前後の頑健な連動、資生堂だけ0.14と弱い。
訪日外客数とインバウンド関連株の同月相関。コロナ前16年(n=192)で0.4前後の頑健な連動、資生堂だけ0.14と弱い。

コロナ前の16年間(n=192)で相関0.4前後という値は、サンプル数を考えると統計的に頑健な連動です。特に2024年以降はPPIH(ドン・キホーテ)が0.69、三越伊勢丹が0.53と、免税売上の比重が高い銘柄ほど強く連動しています。

訪日外客数YoYとインバウンド関連株価YoYの時系列比較(COVID期間除外)

2つの発見

発見1:最も強いラグは一貫して「0ヶ月(同月)」でした。つまり訪日統計は株価を「予言」するのではなく、株価と「同時に」動いています。統計の発表は翌月15〜20日なので、発表時点では株価がすでに動いている可能性が高い。統計を使う価値は「先回り」ではなく、月次の答え合わせと、どの銘柄が本当にインバウンドで動くのかの選別にあります。

発見2:「インバウンド株の代表」とされる資生堂は、コロナ除外ベースで相関0.14とほぼ連動していません。同社の業績は中国本土の消費や構造改革要因の影響が大きく、訪日客数だけでは説明できないことがデータから示唆されます。「関連株」というラベルと実際の連動は別物です。

結論

訪日外客数と一部のインバウンド関連株には、過去データ上で一定の相関が観察されました。ただし短い窓の高い相関は参考値です。ただし銘柄によって強弱がはっきり分かれ、ラベル通りに動かない銘柄もある——これが23年分のデータが示す姿です。

この記事の7銘柄、毎年1月に買っていたら?

訪日外客数と連動するこの7銘柄を、毎年1月に買って1年保有(2005〜2025年)。全199社を等金額で持つ「市場平均」に勝てた年数です。

銘柄市場平均に勝った年
PPIH14/21年
OLC(ディズニー)11/21年
三越伊勢丹9/21年
資生堂9/21年
Jフロントリテイリング8/21年
JR東日本7/21年
高島屋4/21年
OLC(ディズニー)を毎年1月に買って1年持った場合の成績(緑=プラスの年・赤=マイナスの年・青線=市場平均)
例:OLC(ディズニー)は市場平均(青線)を超えた年が21年中11年。緑=勝ち年・赤=負け年。

連動の強い・弱いで並べても、勝った年数はバラバラ。7銘柄の平均は約8.9/21年=市場と互角かそれ以下で、「連動が強いから買えば勝てる」は成り立ちませんでした。連動が効くのは“買い時”ではなく、持ち株がこの7銘柄のように同じ動きへ偏っていないかの点検(→全体の実証自分で試す)。

過去の記録であり将来を保証しません(投資助言ではありません)。

基準日:2026年6月10日。相関は因果関係を保証しません。本記事は統計データの検証結果を示すもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。n=28の期間の数値は標本が小さい点に留意してください。

出典:JNTO 訪日外客統計/株価データはYahoo Finance(月次・調整後終値)

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