統計検証2026-06-12 公開

米・卵・牛乳の値段と株価——食卓のインフレは食品株に効くか

「米が高い」「卵が高い」「牛乳まで上がった」——2024〜2025年、食卓の値上げが続きました。ならば食材を売るスーパー、食材を使う外食・食品メーカーの株価も動くはず? そう考えるのが自然です。米・卵・牛乳それぞれの小売価格(消費者物価指数の品目別指数・全国・月次)のYoYを、関連する6銘柄の株価YoYと突き合わせました。

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検証方法

事前の仮説(判定前に固定)

判定する前に、こう予想しました——食材価格の上昇は、メーカー・外食にとっては原価が上がる=逆風(逆相関)になりうる。一方、スーパーにとっては名目の売上が増える=追い風(正の相関)になりうる。当サイトの基準どおり、逆相関も「連動」とみなし、絶対値|r|≧0.40を「過去に連動あり」とします。

結果①:米の価格 — スーパー(イオン)が一番近いが+0.36止まり

銘柄r(COVID除外)ラグ
イオン 8267(スーパー)+0.365ヶ月
日本マクドナルドHD 2702(外食)+0.116ヶ月
ゼンショーHD 7550(牛丼・外食)-0.156ヶ月
米の小売価格(CPI)と各銘柄の株価YoYの相関。スーパーのイオン+0.36が最も近いが、当サイトの目安|r|≧0.4には届かず。牛丼のゼンショーは弱い逆相関。
米の小売価格(CPI)と各銘柄の株価YoYの相関。スーパーのイオン+0.36が最も近いが、当サイトの目安|r|≧0.4には届かず。牛丼のゼンショーは弱い逆相関。

仮説どおり、スーパーのイオンは正、牛丼のゼンショーは負と符号は予想と一致しました。米価が上がるとスーパーの名目売上は増え、米を主原料にする牛丼チェーンはコスト圧迫——という筋は通っています。ただしイオンの+0.36は当サイトの基準(|r|≧0.40)にわずかに届かず、ゼンショーの逆風も-0.15と弱いものでした。

結果②:卵の価格 — ゼンショー+0.32/キユーピー+0.24で、いずれも基準未満

銘柄r(COVID除外)ラグ
ゼンショーHD 7550(外食)+0.326ヶ月
キユーピー 2809(マヨネーズ)+0.246ヶ月
イオン 8267(スーパー)-0.081ヶ月

意外にも、卵を原料に使うキユーピーも外食のゼンショーも、卵価格と正の相関でした。仮説では「原価上昇=逆風」を予想していましたが、符号は逆。卵価格が上がる局面は景気・インフレ全体が強い局面と重なりやすく、株価はそちらに引っ張られたとみられます。いずれにせよ+0.32が最大で、基準には届きません。

結果③:牛乳の価格 — 森永乳業+0.39が全体の最大。それでも0.40に届かず

銘柄r(COVID除外)ラグ
森永乳業 2264(乳業)+0.396ヶ月
雪印メグミルク 2270(乳業)-0.08同月
イオン 8267(スーパー)+0.015ヶ月

本検証の全組合せで最も強かったのが、森永乳業×牛乳の+0.39です。基準の0.40まであと一歩。ただし同じ乳業でも雪印メグミルクは-0.08とほぼゼロで、「乳業株は牛乳価格で動く」と一般化できるほどではありません。森永乳業は菓子・栄養食品など事業構成が広く、牛乳価格そのものより全体の業績で動いている可能性が高い参考値です。

なぜ効ききらないのか(考えられる理由)

結論:「食卓のインフレ」は、まだ食品株のシグナルになっていない

米・卵・牛乳いずれの価格も、関連株の値動きを説明する力は過去データでは確認できませんでした(最大が森永乳業×牛乳の+0.39、次いでイオン×米の+0.36)。符号の向きは仮説とおおむね整合——スーパーは正、原料を使う側は弱い逆相関の場面もある——のですが、強さがいずれも基準(|r|≧0.40)に届きません。「食材が高い→このスーパー株/食品株が買い」という連想は、少なくとも過去データでは裏づけられない、というのが正直な結論です。当サイトの方針どおり、効かなかった結果もそのまま記録します。

基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:米・卵・牛乳の小売価格は消費者物価指数(2020年基準・総務省/e-Stat 統計表0003427113・品目別価格指数・全国・月次)、株価はYahoo Finance(調整後終値)

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