相関×勝ち筋検証2026-06-14 公開 ・ 2026-06-27 改訂

資源国通貨と相関が高い株は勝てたのか?商社・鉄鋼・資源8銘柄を20年検証

「円安・資源高なら商社・資源株は全部勝てる」——資源国通貨としての豪ドル円(AUDJPY)を使った定番の連想です。連動は本物で、三井物産は豪ドル円と+0.739と当サイト最上位級。では豪ドル円との相関が高い商社・鉄鋼・非鉄8銘柄を毎年同じルールで保有していたら、市場平均に勝てたのか。20年で検証すると、相関も高く市場平均を上回った商社・鉱山(本命)がある一方で、同じく高相関の鉄鋼大手2社は市場超過マイナスの「罠ゾーン」に落ちました。また為替の方向(上昇か下落か)だけでは市場超えの差はほぼつきませんでした。相関・買っていた場合の成績・勝てた局面・罠を順に見ます。

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このページでわかること/わからないこと
わかることわからないこと
過去に市場平均を上回った商社・鉄鋼・非鉄株今後上がる銘柄
豪ドル円と相関が高かった銘柄現在買うべき銘柄
勝てた局面・弱かった局面個別の売買タイミング
相関だけで選ぶ罠(鉄鋼大手が市場超過マイナスだった実証)空売りを勧める銘柄
先に結論(過去検証)
項目結果
検証テーマ豪ドル円(資源国通貨)と相関が高い商社・鉄鋼・非鉄8銘柄は、買っていたら市場平均に勝てたか
相関も市場超過もあり(検証上の本命)丸紅・伊藤忠商事・三菱商事・住友鉱山・三井物産・神戸製鋼所
相関は高いが市場超過は弱い(罠ゾーン)日本製鉄(相関0.591・平均超過−4.0%)・JFEHD(相関0.597・平均超過−6.6%)
市場超過が出やすかった局面上昇局面51%・下落局面53%——ほぼ拮抗。為替の方向より銘柄選別が効いた
注意点全8社が2008年に▲50〜60%の一斉下落(同じ資源サイクルへの隠れた集中)
📌 今日の持ち帰り
「円安・資源高で全部勝てる」は半分だけ。資源国通貨と連動する商社・鉱山は本命でしたが、同じく高相関の鉄鋼大手(JFE・日本製鉄)は市場平均に届きませんでした。同じ「資源株」でも分かれます。
まずは表の〈判定〉〈平均超過〉〈最悪年〉の3つだけ見ればOK。用語は用語ミニ辞書へ。「勝てた」=市場平均を上回った意味で、儲かったとは限りません。

① 豪ドル円相関上位8銘柄を買っていたら、市場平均に勝てたのか

結論から見ます。豪ドル円(AUDJPY)と相関が高い8銘柄を、毎年1月に等金額で買って1年保有した場合(2005〜2025年)の成績です。比較する「市場平均」は、当サイトの検証対象199社を等金額で保有した平均で、TOPIXや日経平均ではありません。平均超過(各年の株リターン−市場平均の平均)がプラスかどうかで判定します。

銘柄豪ドル円
との相関
市場平均に
勝った年
市場との差
(年・平均)
いちばん下げた年判定
丸紅(8002・商社)+0.70412/21+10.4%2008年 ▲54%相関も市場超過もあり
伊藤忠商事(8001・商社)+0.68517/21+8.6%2008年 ▲53%相関も市場超過もあり
三菱商事(8058・商社)+0.6589/21+7.0%2008年 ▲55%相関も市場超過もあり
住友鉱山(5713・非鉄)+0.62411/21+5.9%2008年 ▲50%相関も市場超過もあり
三井物産(8031・商社)+0.73912/21+5.0%2008年 ▲54%相関も市場超過もあり
神戸製鋼所(5406・鉄鋼)+0.44710/21+1.4%2008年 ▲60%相関も市場超過もあり
日本製鉄(5401・鉄鋼)+0.5918/21−4.0%2008年 ▲57%相関は高いが市場超過は弱い(罠)
JFEHD(5411・鉄鋼)+0.5978/21−6.6%2008年 ▲52%相関は高いが市場超過は弱い(罠)

「円安・資源高で全部勝てる」は半分だけ正解でした。商社4社・住友鉱山・神戸製鋼所は市場平均を上回り、平均超過は丸紅+10.4%・伊藤忠+8.6%・三菱商事+7.0%と高水準です。一方、相関0.591〜0.597と同じく高相関の日本製鉄・JFEHDは、市場超えが8/21年と少なく、年間平均では市場を下回り続けました。相関の数字はほぼ同じでも、商社・鉱山と鉄鋼大手ではまったく逆の結果が出ています。伊藤忠商事(17/21年)は検証期間で最も安定して市場平均を上回った銘柄です。

三井物産を毎年1月に買って1年持った場合の成績(緑=プラスの年・赤=マイナスの年・青線=市場平均)
三井物産:豪ドル円との連動はr=0.739でトップ。市場超え12/21年・平均+5.0%と本命グループに入る。一方、2008年は▲54%と深く沈んだ。2008年は8銘柄が一斉に▲50〜60%と、同じ資源サイクルへの集中リスクが表面化した年。

② なぜこの8銘柄なのか——豪ドル円との相関ランキング

「豪ドル円と相関が高い株」としてこの8銘柄を取り上げた根拠を示します。前年比どうしの相関(株価データ起点〜全期間)で並べると次の通りです。

銘柄豪ドル円との相関(全期間)事業の性格
三井物産(8031)+0.739総合商社(資源権益・トレーディング)
丸紅(8002)+0.704総合商社(資源権益・トレーディング)
伊藤忠商事(8001)+0.685総合商社(資源権益・トレーディング)
三菱商事(8058)+0.658総合商社(資源権益・トレーディング)
住友鉱山(5713)+0.624非鉄金属(銅・ニッケル)
JFEHD(5411)+0.597鉄鋼(高炉・市況・輸出)
日本製鉄(5401)+0.591鉄鋼(高炉・市況・輸出)
神戸製鋼所(5406)+0.447鉄鋼(電炉・特殊鋼)
豪ドル円YoYと商社・鉄鋼・非鉄8銘柄の同月相関を表すグラフ。三井物産+0.739で最強、全銘柄+0.44以上。
豪ドル円前年比と8銘柄の株価YoYの全期間同月相関。商社4社が+0.65以上で高水準。全銘柄が当サイトの基準(|r|≧0.40)を超える「過去連動あり」。

豪ドル(オーストラリア・ドル)は鉄鉱石・石炭・LNGの世界的輸出国であるオーストラリアの通貨で、資源価格の上下を映すコモディティ通貨として知られます。総合商社4社は鉄鉱石・原料炭・LNGの上流権益を保有しており、資源価格が上昇すると権益収益が直接改善します。住友鉱山は銅・ニッケルなどの非鉄金属が主力で、資源市況全般と同期します。鉄鋼3社(JFEHD・日本製鉄・神戸製鋼所)は原料として鉄鉱石・原料炭を大量に輸入しており、資源価格と収益が同じサイクルに乗ります。豪ドル円が上昇するとき → 資源価格上昇 → 権益収益や製品市況も上がるという同時の動きが相関を生みます。ただし為替は資源価格以外にも金利差・リスク選好・政策等の複合要因で動きます(見立て)。

③ 相関 × 市場超過(4象限で見る)

豪ドル円との相関の高さと「市場平均に勝てたか(平均超過がプラスか)」は別の軸でした。掛け合わせると、こう分かれます。

平均超過がプラス平均超過がゼロ以下
相関が高い(|r|≧0.4)検証上の本命:三井物産・丸紅・伊藤忠商事・三菱商事・住友鉱山・神戸製鋼所罠ゾーン:JFEHD・日本製鉄
相関が低い別要因:(今回の8銘柄では該当なし)説明しにくい:(今回の8銘柄では該当なし)

今回は8銘柄すべてが「相関が高い」側に入り、その中で本命(商社4社・住友鉱山・神戸製鋼所)罠ゾーン(日本製鉄・JFEHD)に割れました。商社・鉱山は資源権益の直接収益が資源上昇局面で積み上がりやすく、市場平均を上回りやすかった。鉄鋼大手2社は同じ資源サイクルに連動しながらも、素材コスト上昇と製品値上げのタイムラグ・市況悪化時の在庫評価損・設備投資の重さなどが市場超過を圧迫した、と読めます(見立て)。

「罠ゾーン」は売り候補ではありません。相関だけで銘柄を選ぶと過去に市場平均を下回ることがあった、という注意ゾーンを指します(避ける・保有を点検する材料であって、空売りを勧めるものではありません)。

④ 市場超過が出やすかったのは、どんな局面か

同じ8銘柄でも、買った年の「豪ドル円の局面」で結果が変わるかを確認しました。買付時点(その年の1月)で分かっている前年12月の豪ドル円前年比が上昇(プラス)か下落(マイナス)かで分けます。

豪ドル円の局面(買付時点で判明)市場平均を上回った割合
豪ドル円が上昇していた局面で保有51%(53/104)
豪ドル円が下落していた局面で保有53%(34/64)

過去データでは、豪ドル円の上昇・下落いずれの局面でも市場平均を上回った割合はほぼ拮抗(51% vs 53%)でした。「豪ドル円が上がっているから商社・資源株を保有すれば勝てる」という連想は、局面レベルでは成立しませんでした。商社か鉄鋼かという銘柄選別の方が、豪ドル円の方向性よりも結果に効いたという構図です。

局面の判定には買付時点で公表済みの数値(前年12月の豪ドル円前年比)のみを使用し、買付時点で未確定の値は使っていません(先読み防止)。割合は8銘柄×該当年の観測数ベース。

⑤ 相関が高くても市場に勝てなかったパターン(罠)

⑥ 今の環境を見るなら、どこを見るか

過去に市場超過が出やすかった条件に近いかは、次の3点で整理できます("今買える"という話ではなく、過去パターンとの近さを見る視点です)。

チェック項目見るポイント過去の傾向との関係
豪ドル円の方向前年から上昇か/下落か上昇・下落いずれも51〜53%で拮抗——局面の判定だけでは市場超えの差はほぼつかなかった
商社か鉄鋼か資源権益型か/素材製造型か過去は商社・鉱山が本命、鉄鋼大手2社が罠ゾーン——豪ドル円方向より銘柄分類の方が効いた
資源集中度商社・鉄鋼・非鉄が束になっているか/分散しているか8銘柄が同じ資源サイクルで動くため、急落局面(2008年)には一斉に▲50〜60%が起きた
結局どう見る?
見ること意味
① 相関だけで選ばない相関が高くても市場平均に勝てない銘柄がある
② 平均超過を見る勝った年数より、平均して市場を上回ったかを見る
③ 最悪年を見る勝ち筋があっても、急落時に深く沈む銘柄がある
④ 今の環境が近いか見る過去に強かった局面と似ているかを確認する
⑤ 罠ゾーンを避ける高相関でも市場に勝てない銘柄に、飛びつかないための材料にする

豪ドル円の方向だけでなく、商社・鉱山は本命・大手鉄鋼は罠と分かれます(相関No.1の三井物産より相関5位の丸紅の方が市場超過は大きい)。使い方はシンプルです。相関で探す。平均超過で絞る。罠と最悪年で冷ます。この順番です。

まとめ:この指標の使い方

「円安・資源高なら商社・資源株は全部勝てる」——連動としては本物ですが、相関が高い=市場平均に勝てた、ではありませんでした。同じく高相関でも、商社4社・住友鉱山・神戸製鋼所(本命)と鉄鋼大手2社(罠ゾーン)に割れた。また豪ドル円の方向(上昇/下落)だけでは市場超えの差はほぼつきませんでした。現実的なのは、豪ドル円で連動銘柄を見つけ→過去に市場平均を上回った銘柄(商社・鉱山)と相関は高いのに弱い銘柄(鉄鋼大手)を分け→資源集中の一斉下落リスク(2008年型)を確認する、銘柄を絞り込むフィルターとしての使い方です。詳しくは全体の実証、銘柄横断の整理は過去検証スコア、指標横断は指標別「相関ランキング×勝てたか」で確かめられます。

基準日:2026年6月27日(相関の基準日は2026年6月14日)。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。相関は仕分け装置であって、買いサインではありません。数字の読み方もあわせてご覧ください。

主要相関の検定:三井物産(8031) r=+0.739(古典的Pearson両側検定・前年比どうし、月次YoYの系列相関や多重検定は未調整のため目安)。相関≠因果・多重検定

出典:豪ドル円(AUDJPY=X)=Yahoo Finance(月次終値・前年比)。株価=Yahoo Finance(調整後終値・月次前年比)。「買っていたら」検証=2005〜2025年・毎年1月に等金額で買い1年保有・株価のみ(配当・売買手数料・税金は含まず)。「市場平均」=当サイト検証対象199社を等金額で保有した平均(TOPIX・日経平均ではありません)。相関は当サイト算出(前年比どうし)。局面判定は買付時点で公表済みの前年12月の豪ドル円前年比に限定(先読み防止)。算出=scripts/build_regime.py。

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