市況・金利2026-06-13 公開
金利が上がると銀行株は上がるのか——10年金利×銀行・不動産・保険7銘柄で実測
三菱UFJ×CPIの窓分解の結論は『銀行株を動かすのは物価そのものより金利(の期待)』でした。なら金利で直接測ればいい——当サイト初の市況・金利シリーズ第1弾は、財務省の10年国債金利と銀行・不動産・保険7銘柄の連動を、いつもの手法(月次・前年差・ラグ0〜6走査・コロナ除外併記)で実測しました。結果は三井住友FGのr=+0.62を筆頭に、当サイトの全ペアでも最上位級です。
検証方法
- 財務省「国債金利情報」の10年国債金利(日次)を月次平均し、前年差(1年前と比べて何%ポイント動いたか)に変換。ゼロ金利圏では前年比%が使えないため、有効求人倍率と同じく差分を使います
- 各銘柄の株価YoYとの相関をラグ0〜6ヶ月で走査(結果は全銘柄で同月が最強)
- 全期間(最長1986年〜)とコロナ除外(2020〜2021年を除く)を併記
結果:銀行・不動産は連動、損保だけ効かない
| 銘柄 | 全期間 | コロナ除外 |
|---|---|---|
| 三井住友FG(8316) | +0.61(n=305) | +0.62(n=281) |
| みずほFG(8411) | +0.57(n=267) | +0.58(n=243) |
| 三菱UFJ(8306) | +0.53(n=237) | +0.57(n=213) |
| 三菱地所(8802) | +0.46(n=305) | +0.48(n=281) |
| 住友不動産(8830) | +0.44(n=305) | +0.46(n=281) |
| 第一生命HD(8750) | +0.42(n=182) | +0.46(n=158) |
| 東京海上HD(8766) | +0.13(n=300) | +0.12(n=276) |

銀行3行はそろってr=+0.53〜+0.62。当サイトが検証してきた約30統計の中でも最上位級で、しかも全銘柄で同月(ラグ0)が最強=金利と銀行株は同じ月に同じ方向へ動いてきました。利ざやで稼ぐ銀行、金利でバリュエーションが動く不動産、運用利回りが効く生保まで正の連動が並ぶ一方、同じ金融でも損保の東京海上だけはほぼゼロ。損保の利益は災害の発生や保険引受の損益に左右される部分が大きく、金利だけでは動かないため——と考えられますが、ここは仮説です。同じ「金融」括りでも経路が違えば連動も違う、という良い対照になりました。
CPIの0.49より金利の0.57——『物価でなく金利』の直接実証
三菱UFJで比べると、CPI(物価)との相関は+0.49、今回の金利との相関は+0.57(いずれもコロナ除外)。さらにCPIの0.49は窓に割ると2016〜2020年に偏った見かけの数字でしたが、金利との連動は25年級のnで出ています。『インフレだから銀行株』ではなく『金利が動くから銀行株』——連想の鎖を1段短くするだけで、相関はここまで太くなります。なお米10年金利とバリュー/グロースの検証で見た金利と株の関係とも整合する結果です。
結論:金利は当サイト最強級の『効く変数』
10年金利×三井住友FGの+0.62は、所定外労働時間×日本製鉄(+0.59)を上回り、当サイトの辞書で最上位の数字になりました。生活密着統計の検証では『効かない』が続きましたが、収益やバリュエーションを直接動かす変数は、ちゃんと効く——この対照こそ、効かない結果も正直に出してきた当サイトの検証が示せることだと考えています。ただし相関は過去の記録であり、将来の値動きの保証ではありません。金利局面の急変時(利上げ停止・利下げ転換)に同じ関係が続くかは、これからも定点で測り続けます。
基準日:2026年6月13日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:10年国債金利は財務省「国債金利情報」(日次を月次平均・前年差に変換)、株価はYahoo Finance(調整後終値・月次YoY)。相関は当サイト算出(ラグ0〜6走査・全銘柄で同月最強)。第一生命は2010年上場で系列が短め。基準日2026-06-13