過去連動あり2026-06-14 公開

WTI原油と石油関連株の過去相関を確認する——WTI原油×石油株5銘柄で実測

「原油が上がれば石油株が上がる」——エネルギー投資の教科書に必ず出てくる通説です。石油株はエネルギーセクターの代表として「原油高局面で買われる」と語られますが、当サイトは一次データで実測して初めて「本当かどうか」を判断します。本記事ではWTI原油先物(Yahoo Finance・CL=F)の月次YoYと、石油株5銘柄の株価YoYを同月で照合しました。結論を先取りすると、当サイトの「連動あり」基準(|r|≧0.4)を満たすのはINPEX(+0.436)のみで、元売り(出光・ENEOS・コスモ)とJAPEXは+0.29〜+0.37の中程度でした。姉妹コモディティとして銅(Dr.Copper)×非鉄株もあわせてご覧ください。

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検証方法

結果:開発株が最も素直、元売りは中程度

銘柄(業種)全期間 同月コロナ除外n
INPEX(1605・石油・ガス開発)+0.436+0.440212
コスモエネルギーHD(5021・元売り)+0.373+0.368 ※参考値83
出光興産(5019・元売り)+0.363+0.365 ※参考値158
ENEOS(5020・元売り)+0.358+0.317208
石油資源開発 JAPEX(1662・石油・ガス開発)+0.285+0.303183
WTI原油と石油関連株の過去相関を確認する——WTI原油×石油株5銘柄で実測を表すグラフ
WTI原油先物YoYと5銘柄の株価YoYの全期間同月相関。INPEX+0.436が最も素直(原油が直接収益に効く)。元売り(出光/ENEOS/コスモ)は精製マージンや在庫評価が絡み+0.36前後。全lag0=同月=先行ではなく一致指標(先回り不可)。⚠️コスモ(n=83)・出光(n=158)は系列が短く参考値寄り。

INPEX(1605)は全期間同月+0.436で当サイトの目安(|r|≧0.40)を超え、判定は「過去連動あり」です。出典:WTI原油先物 Yahoo Finance(CL=F・月次)、株価Yahoo Finance、相関は当サイト算出(YoY×YoY同月)。基準日2026-06-14。⚠️コスモ(n=83)・出光(n=158)は系列が短く参考値寄り、INPEX(n=212)が本命。

なぜ開発株が最も素直に連動するのか(見立て)

INPEXは石油・天然ガスの採掘・開発が本業です。原油価格が上がれば採掘した資源の売却価格が直接上がり、収益に素直に反映されます。「原油価格=収益の単価」という伝達経路がシンプルです。

ただしこれは「見立て(仮説)」です。実際には為替(ドル建て原油×円換算)、生産量、コスト構造なども影響します。

元売りはなぜ中程度か(見立て)

出光興産・ENEOS・コスモエネルギーHDは原油を輸入して精製・販売する元売りです。原油高は原材料コストの上昇を意味し、精製マージン(原料と製品の差額)や在庫評価損益が絡むため、採掘・開発ほど原油価格と素直に連動しません。

⚠️コスモ(n=83/2019年上場)・出光(n=158)は系列が短く、参考値として読んでください。

石油資源開発(1662)が意外に低い理由(見立て)

石油資源開発(JAPEX)はINPEXと同じ「開発」業でありながら、+0.285とINPEXの+0.436より低い数値です。規模・事業構成・プロジェクトの種類などがINPEXと異なると考えられますが、詳細はあくまで「見立て」です。実測値の事実として記録します。

最重要:「先行でなく同月一致」——先回りはできない

全5銘柄でlag0(同月)が最強でした。これは原油価格が動く月にすでに石油株も動いていることを意味します。「WTI先物が上がったから翌月に石油株を買う」という先回りの使い方はデータで支持されません

原油価格と石油株は「同じ市場環境を同時に反映している」のです。

コロナ除外でも結論は変わらない

2020〜2021年のコロナ期を除外しても、INPEXの連動は頑健です(full +0.436→exC +0.440)。コロナの大振れに支えられた見かけの数字ではありません。ENEOSはコロナ除外で+0.317まで低下し、元売りはコロナ期の振れが数値を押し上げていた面があります。

結論

「原油が上がれば石油株」という教科書的な連想は、方向としては本当でした。ただし相関は+0.4前後と中程度で、INPEXのように原油が直接収益に効く開発株と、元売りでは効き方が違います。全銘柄でlag0=同月一致であり、先回り指標にはなりません。為替(ドル円)や精製マージンなど他要因も大きく、「原油を見れば石油株の方向が分かる」は長期の大局感として使う水準の話です。

この記事の5銘柄、毎年1月に買っていたら?

原油(WTI)と連動するこの5銘柄を、毎年1月に買って1年保有(2005〜2025年)。全199社を等金額で持つ「市場平均」に勝てた年数です。

銘柄市場平均に勝った年
出光興産8/19年
INPEX8/21年
石油資源開発8/21年
コスモエネルギーHD6/10年
ENEOS6/21年
INPEXを毎年1月に買って1年持った場合の成績(緑=プラスの年・赤=マイナスの年・青線=市場平均)
例:INPEXは市場平均(青線)を超えた年が21年中8年。緑=勝ち年・赤=負け年。

連動の強い・弱いで並べても、勝った年数はバラバラ。5銘柄の平均は約7.2/18年=市場と互角かそれ以下で、「連動が強いから買えば勝てる」は成り立ちませんでした。連動が効くのは“買い時”ではなく、持ち株がこの5銘柄のように同じ動きへ偏っていないかの点検(→全体の実証自分で試す)。

過去の記録であり将来を保証しません(投資助言ではありません)。

基準日:2026年6月14日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

主要相関の検定:INPEX(1605・石油・ガス開発) r=+0.436(95%CI [+0.320, +0.539]、n=212、p<0.001)。古典的Pearson両側検定で、月次YoYの系列相関や多重検定は未調整のため目安です。相関≠因果・多重検定

出典:WTI原油先物(CL=F):Yahoo Finance・月次・前年比(YoY)。株価:Yahoo Finance(調整後終値・月次YoY)。相関は当サイト算出(YoY×YoY・ラグ0〜6走査・全銘柄でlag0=同月が最強または同水準)。期間は約2001年〜2026年・最長n=212。基準日2026-06-14 ※銘柄により株価データの取得可能期間が異なるため、n数は銘柄ごとに異なります。

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