連動辞書2026-06-19 公開
海外旅行者数(日本人出国者数)×旅行株の相関
「海外旅行が増えれば旅行会社の株も上がる」——直感的には自然な連想です。しかし月次の前年比データで実際に測定すると、出国者数の増減と旅行株の株価変動の相関は弱く、r は全ペアで |0.15| 以下でした。過去データから読み取れる事実をそのまま報告します。
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測定した統計と株式
- 統計:日本人出国者数(月次)— 法務省出入国在留管理庁 / e-Stat ダッシュボード API 経由取得。期間:2008年1月〜2026年3月(219ヶ月)
- 株式(3銘柄):HIS(9603)・エアトリ(6191)・KNT-CT ホールディングス(9726)
- 加工:統計・株価ともに前年同月比(YoY%)に変換して相関を算出
- 窓:全期間(full)とコロナ期(2020年〜2021年)除外(ex_covid)の 2 通り
- ラグ走査:0〜6 ヶ月先行で最大 |r| を採用
- 最低 n:24 ヶ月未満の重なりは欠損扱い
結果
| 銘柄 | 窓 | 最良ラグ | r(相関係数) | n(重なり月数) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| HIS(9603) | 全期間 | 6ヶ月先行 | −0.08 | 216 | ほぼ無相関 |
| HIS(9603) | コロナ除外 | 2ヶ月先行 | −0.15 | 195 | ほぼ無相関 |
| エアトリ(6191) | 全期間 | 1ヶ月先行 | +0.05 | 109 | ほぼ無相関 |
| エアトリ(6191) | コロナ除外 | 0ヶ月(同月) | −0.09 | 85 | ほぼ無相関 |
| KNT-CT(9726) | 全期間 | 0ヶ月(同月) | +0.12 | 219 | ほぼ無相関 |
| KNT-CT(9726) | コロナ除外 | 6ヶ月先行 | −0.08 | 192 | ほぼ無相関 |
相関係数 |r| が 0.3 未満を「ほぼ無相関」として扱っています(読み方ガイド参照)。
読み取れること
3銘柄すべて・全窓で |r| ≤ 0.15。統計的に「出国者数の増減が旅行株の月次騰落を説明する」とは言いにくい結果です。
- 旅行株の株価は、より広い市場環境や為替・燃油コストの影響を受けやすい。出国者数が増えても、燃油サーチャージの上昇や円安で利益率が圧迫されると株価は反応しないケースがある。
- コロナ除外後(2022年〜)もパターンは変わらない。2022年以降の入国制限撤廃後に出国者数は急回復したが、旅行株の回復ペースは各社の事業構造(国内/海外比率・ビジネス旅行比率)で異なり、一律には動かなかった。
- エアトリはデータ期間が短い(109ヶ月)。2016年上場のため全期間窓が短く、コロナ前後の比較もやや参考値にとどまる。
「旅行者数が増えているから旅行株を買う」という連想は、過去の月次データでは裏付けが薄い点に注意が必要です。
測定の限界と注意点
- 日本人出国者数を測定。訪日外客数(インバウンド)との組み合わせは別統計(鉄道旅客輸送量×鉄道株等を参照)。
- コロナ禍(2020〜2021年)は出国者数がほぼゼロに急落した特異期間。この期間が含まれると相関が見かけ上歪む可能性があるため ex_covid 窓も掲載。
- 月次データのため、イベントの単月スパイク(大型連休・年末年始等)は平滑化されていない。
- 各社の株価は個別の企業業績・M&A・提携ニュースにも大きく左右される。
基準日:2026年6月19日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:日本人出国者数:法務省出入国在留管理庁(e-Stat ダッシュボード API・指標コード 0204040002000010010)。株価:Yahoo Finance Japan(月次・調整後終値)。基準日 2026-06-19。