統計検証2026-06-19 公開

実質賃金が上がると消費・外食株は上がるのか——12銘柄を実測

「実質賃金が上がれば、消費者の購買力が高まり、外食・小売・消費財株が恩恵を受ける」——この連想は多くの投資家が持つ。だが実測はどうか。厚生労働省の実質賃金指数(現金給与総額)と消費・外食・小売12銘柄の株価前年比を突き合わせたところ、大半が弱い負の相関にとどまった。

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検証方法

実測結果(全12銘柄)

銘柄(コード)r(full)ラグnr(COVID除外)ラグn判定
JT(2914)-0.376ヶ月156-0.456ヶ月132弱い傾向(COVID除外)
良品計画(7453)-0.336ヶ月156-0.345ヶ月133弱い傾向
ニトリHD(9843)-0.316ヶ月156-0.286ヶ月132弱い傾向
OLC(4661)-0.296ヶ月156-0.324ヶ月134弱い傾向
ファーストリテイリング(9983)-0.276ヶ月156-0.206ヶ月132弱い傾向(full)
日本郵政(6178)-0.186ヶ月110-0.376ヶ月86弱い傾向(COVID除外)
イオン(8267)-0.206ヶ月156+0.170ヶ月136ほぼ無相関
セブン&アイHD(3382)-0.060ヶ月160-0.264ヶ月134ほぼ無相関(full)
日本マクドナルドHD(2702)+0.150ヶ月160+0.270ヶ月136弱い正傾向(COVID除外)
吉野家HD(9861)-0.161ヶ月160-0.184ヶ月134ほぼ無相関
ゼンショーHD(7550)-0.124ヶ月158-0.114ヶ月134ほぼ無相関
ペッパーフードサービス(3053)+0.076ヶ月156+0.106ヶ月132ほぼ無相関

r値は当サイトのデータベース(results_master.csv)からの実測値。ラグ=0とはほぼ同時期の動き。ラグ=6は統計の6ヶ月後に株価のYoYピークがくる傾向を示す。

「賃金上昇=消費株高」仮説は実測では逆

12銘柄中9銘柄で負の相関(賃金上昇=株安方向)が出た。最も連動が大きかったJTのCOVID除外r=-0.45は「弱い傾向」ゾーン(|r|=0.40〜0.59)にかかるが、これはJTが防衛的消費財株(タバコ)という特殊性も絡む。ニトリ・良品計画も同様に負の方向だ。

例外はマクドナルド(2702)で、COVID除外でr=+0.27と唯一プラス方向。ただし|r|<0.30のため「弱い傾向」の入口にとどまる。

なぜ逆が出るのか

1. 賃金上昇局面=インフレ・金利上昇局面と重なる問題
実質賃金が上昇する時期は往々にしてインフレが落ち着いた局面だが、名目賃金が上昇している局面では人件費コスト増という圧力も同時にかかる。外食・小売はアルバイト依存度が高く、人件費増益圧力が株価に先行して織り込まれやすい。

2. 実質賃金と株価はともにマクロの影響を受ける
実質賃金が伸びる局面(物価安定+名目賃金上昇)は、製造業輸出株や金融株にとって好環境(円安・金利上昇)であることが多く、消費株は相対的に出遅れがちになる。

3. 消費行動の変化は数ヶ月〜1年かけて財務に反映される
ラグ6ヶ月での相関が多い理由の一つは、賃金上昇が家計に浸透して実際の購買力増加として可視化されるまで時間がかかることだ。しかし株価はその先読みをするため、実態と相関のタイミングがずれやすい。

統計の制約

基準日:2026年6月19日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:実質賃金指数: e-Stat「毎月勤労統計調査」実質賃金指数(現金給与総額)(指標コード: 0302030201010090010)2013年1月〜2026年4月。株価: Yahoo Finance(月次調整後終値)。測定: 2026年6月19日。

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