統計検証2026-06-12 公開
インフレ(CPI)で上がる株はあるか——消費者物価と個別株の連動を35年検証
「インフレで上がる株」はよく語られますが、実際に消費者物価指数(CPI)と連動してきた銘柄はあるのでしょうか。CPI総合のYoYと個別株の株価YoYを、1990年からの35年分で検証しました。
検証方法
- 対象:消費者物価指数(CPI総合・2020年基準)のYoYと、個別株の株価YoY(1990〜2026年)
- 前年同月比どうしの相関を、全期間・COVID除外で計算。ラグ0〜6ヶ月で最良を採用
- 「インフレで上がる」と言われがちな銀行・商社・エネルギー・食品・小売などを対象に選定
結果:効くのは銀行、次いで商社・エネルギー
| 銘柄 | 全期間 r | COVID除外 r |
|---|---|---|
| 三菱UFJ 8306 | +0.45 | +0.49 |
| 三井物産 8031 | +0.23 | +0.26 |
| INPEX 1605 | +0.25 | +0.24 |
| ENEOS 5020 | +0.22 | +0.23 |
| 三菱商事 8058 | +0.20 | +0.20 |
| 三井住友FG 8316 | +0.20 | +0.20 |
| ファストリ 9983 | +0.15 | +0.16 |
| トヨタ 7203 | +0.10 | +0.12 |
| セブン&アイ 3382 | +0.08 | +0.09 |
| 三井不動産 8801 | +0.09 | +0.08 |
| ソフトバンクG 9984 | -0.04 | -0.03 |

最も連動したのは三菱UFJ(+0.49)でした。インフレ→金利上昇→利ざや改善、という銀行の構図がそのまま出ています。次いで商社・エネルギー(三井物産+0.26・INPEX+0.25・ENEOS+0.23・三菱商事+0.20)。資源価格とインフレが連動するため、商社・石油も中程度に効きました。
意外:値上げの当事者(小売・食品)はむしろ弱い
意外なのは、値上げをしている当事者である小売・食品の連動が弱いことです(セブン&アイ+0.09・ファストリ+0.16)。価格転嫁にラグがある、コスト増と相殺される、などが背景と考えられます。グロースの代表であるソフトバンクG(-0.03)はインフレと無相関〜わずかに逆でした。
※味の素はラグ5ヶ月で+0.49と出ますが、5ヶ月のずれは偶然の可能性が高く参考値です。同月で見ると効きは限定的でした。
結論:インフレ受益株は「実在するが中程度」
「インフレで上がる株」は、銀行を筆頭に商社・エネルギーで実在しました。ただし最大でも+0.49(中程度)で、CPI自体が月次・遅行・平滑な指標のため、発表を見てから動く類のトレード材料にはなりにくいのが実情です。「インフレ局面では銀行・商社・資源が相対的に強かった」という、大きな地合いの記録として捉えるのが妥当です。
基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:消費者物価指数はe-Statダッシュボード(CPI総合・2020年基準)、株価はYahoo Finance(調整後終値)