統計検証2026-06-12 公開
消費支出・実質賃金で消費株は買えるか——「家計のデータ」と株価の連動を検証
「消費が強ければ小売株が上がる」「実質賃金がプラスに転じれば消費株に追い風」——ニュースでよく聞く連想です。家計調査の消費支出(二人以上世帯・25年分)と実質賃金指数(毎月勤労統計・13年分)のYoYを、小売・外食・消費関連株の株価YoYと突き合わせました。
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検証方法
- 消費支出:家計調査(二人以上の世帯)の月次消費支出のYoY(2000〜2026年・n≈270)
- 実質賃金:毎月勤労統計の実質賃金指数(現金給与総額)のYoY(2012〜2026年・n≈135)
- 各YoYと小売・外食・消費関連株の株価YoYの相関を、COVID除外・ラグ0〜6ヶ月の最良で計算
結果①:消費支出と小売株は「ほぼ連動しない」
| 銘柄 | r(COVID除外) | ラグ |
|---|---|---|
| 高島屋 8233 | +0.24 | 2ヶ月 |
| 三越伊勢丹 3099 | +0.24 | 同月 |
| PPIH 7532 | +0.18 | 2ヶ月 |
| ファストリ 9983 | +0.17 | 同月 |
| イオン 8267 | +0.15 | 3ヶ月 |
| セブン&アイ 3382 | +0.07 | 3ヶ月 |
| 日本マクドナルドHD 2702 | +0.06 | 3ヶ月 |
| ニトリ 9843 | -0.32 | 同月 |

正の相関で最大は百貨店の高島屋・三越伊勢丹の+0.24止まり。当サイトの基準(|r|≧0.40で「過去連動あり」)には遠く届きません。ニトリの-0.32は「消費が抑えられる時期に強い」とも読めますが、単独の逆相関で解釈は困難——偶然の可能性が高い参考値です。
結果②:実質賃金は「符号がバラバラ」=ノイズに近い
| 銘柄 | r(COVID除外) | ラグ |
|---|---|---|
| 良品計画 7453 | -0.34 | 5ヶ月 |
| OLC 4661 | -0.32 | 4ヶ月 |
| 日本マクドナルドHD 2702 | +0.27 | 同月 |
| ニトリ 9843 | -0.28 | 6ヶ月 |
| セブン&アイ 3382 | -0.26 | 4ヶ月 |
| イオン 8267 | +0.17 | 同月 |
| パーソルHD 2181 | -0.07 | 同月 |
実質賃金は正と負が入り混じり、ラグもバラバラ。「実質賃金が上がれば消費株が上がる」という素直な関係は確認できませんでした。n≈135と期間も13年に限られるため、そもそも検出力が弱い点にも注意が必要です。
なぜ効かないのか(考えられる理由)
- 小売大手の株価は国内消費の総量より、海外展開・業態転換・個社要因で動く(ファストリは海外、セブンは再編)
- 消費支出・実質賃金は遅行的で平滑な統計。株価は先に動いてしまう
- 家計調査はサンプル調査で月次の振れが大きく、YoYでもノイズが残る
結論:「家計のデータ」で消費株は買えない
消費支出も実質賃金も、消費関連株の値動きを説明する力は過去データでは確認できませんでした。ニュースで「実質賃金がプラス転換、消費株に追い風」という解説を見ても、過去の実績ではその連動は弱い——というのが本検証の正直な結論です。当サイトの方針どおり、効かなかった結果もそのまま記録します。
基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:消費支出・実質賃金はe-Statダッシュボード(家計調査・毎月勤労統計)、株価はYahoo Finance(調整後終値)