連動辞書2026-06-19 公開
鉱工業生産指数×工作機械・FA株の相関
工作機械は製造業の設備投資を映す「ものづくりの温度計」とも呼ばれます。製造現場の生産活動が活発なほど、新しい工作機械への需要も高まる——この連想を、鉱工業生産指数(経産省)と工作機械・FA関連4銘柄の月次前年比データで実測しました。
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測定した統計と株式
- 統計:鉱工業生産指数(2020年基準)— 経済産業省 / e-Stat ダッシュボード API 経由取得(指標コード 0502070301000090010)。期間:1991年1月〜2026年4月(424ヶ月)
- 株式(4銘柄):FANUC(6954)・DMG森精機(6141)・オークマ(6103)・牧野フライス製作所(6135)
- 加工:統計・株価ともに前年同月比(YoY%)に変換して相関を算出
- 窓:全期間(full)とコロナ期(2020年〜2021年)除外(ex_covid)の 2 通り
- ラグ走査:0〜6 ヶ月先行で最大 |r| を採用
- 最低 n:24 ヶ月未満の重なりは欠損扱い
結果
| 銘柄 | 窓 | 最良ラグ | r(相関係数) | n(重なり月数) | 目安判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| FANUC(6954) | 全期間 | 0ヶ月(同月) | +0.44 | 304 | 中程度の正相関 |
| FANUC(6954) | コロナ除外 | 0ヶ月(同月) | +0.44 | 280 | 中程度の正相関 |
| DMG森精機(6141) | 全期間 | 0ヶ月(同月) | +0.29 | 292 | 弱〜中程度の正相関 |
| DMG森精機(6141) | コロナ除外 | 0ヶ月(同月) | +0.27 | 268 | 弱〜中程度の正相関 |
| オークマ(6103) | 全期間 | 0ヶ月(同月) | +0.43 | 304 | 中程度の正相関 |
| オークマ(6103) | コロナ除外 | 0ヶ月(同月) | +0.43 | 280 | 中程度の正相関 |
| 牧野フライス(6135) | 全期間 | 0ヶ月(同月) | +0.45 | 292 | 中程度の正相関 |
| 牧野フライス(6135) | コロナ除外 | 0ヶ月(同月) | +0.45 | 268 | 中程度の正相関 |
|r| 0.3〜0.5 を「中程度の正相関」、|r| 0.2〜0.3 を「弱〜中程度」として扱っています(読み方ガイド参照)。数値はあくまで過去実績であり、将来の株価変動を予測・保証するものではありません。
読み取れること
4銘柄すべてで正相関(r = +0.27〜+0.45)。ラグは全社ゼロ(同月)。コロナ除外後も r はほぼ変化しません。
- 製造業生産が拡大する局面では工作機械株も上昇しやすい傾向が見られた。これは工作機械が製造業の設備投資財であり、生産活動の増減が受注・売上に直接波及する構造と整合します。
- ラグがゼロ(同月)。統計の月次公表は翌月以降のため、実際には「既に生産指数が出た後に株価で確認できる」という関係に近い。株価は生産指数の「先読み」をしている可能性もあります。
- FANUC・牧野フライスが r ≈ 0.44〜0.45 でやや高め。DMG森精機はドイツ DMG MORI との合弁企業で海外売上比率が高く、グローバルな設備投資サイクルの影響を受けるため、国内鉱工業生産指数との相関がやや薄れた可能性があります。
- コロナ期(2020〜2021年)を除いても相関はほぼ維持。この期間特有の需給歪みに依存した相関ではなく、より構造的な連動だと示唆されます。
注意点:「鉱工業生産指数」と「工作機械受注」は別統計
日本工作機械工業会(JMTBA)が毎月公表する「工作機械受注」統計は、工作機械の受注額を直接集計したより専門的な指標です。しかし同統計の月次時系列データは公開 API 等での機械的な取得が難しいため、今回は上位統計である経済産業省「鉱工業生産指数」を代理変数として測定しています。工作機械受注と鉱工業生産指数は傾向が概ね連動しますが、受注は景気に先行しやすい一方、生産は遅行する面があります。
測定の限界と注意点
- 鉱工業生産指数は全製造業の加重平均。工作機械業種だけの生産指数ではないため、自動車・電機等の大きなウェイトに引っ張られる。
- 相関は時期によって変化することがあります。特にグローバルな設備投資サイクルや為替の影響が強い局面では、国内生産指数との連動が薄れる可能性があります。
- 各銘柄の株価には個別の企業業績・提携・海外受注等の固有要因も大きく影響します。
基準日:2026年6月19日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:鉱工業生産指数(2020年基準):経済産業省(e-Stat ダッシュボード API・指標コード 0502070301000090010)。株価:Yahoo Finance Japan(月次・調整後終値)。基準日 2026-06-19。