アノマリー検証2026-06-28 公開
総選挙のあと、日経平均は上がるのか?衆院選12回(1990-2024)で検証
「選挙で株が上がる」とよく言われます。では衆議院総選挙のとき、日経平均は実際どう動いてきたのか——投開票の翌営業日と、選挙直前の地合いを、1990〜2024年の12回で検証しました。先に結論を言うと、上がりやすかったのは投開票の"後"ではなく"前"。投開票翌営業日は方向がまちまちでしたが、選挙までの直前2週間は勝率67%とやや上がりやすい傾向でした。ただし衆院選は12回の少標本=参考値です。
「選挙で株が上がる」——過去の衆院選で見ると、上がりやすかったのは投開票の"後"ではなく"前"でした。投開票の翌営業日は方向がまちまち(中央値−0.31%・勝率42%)。一方、投開票までの直前2週間(10営業日)は勝率67%と上がりやすい傾向。ただし衆院選は20年で12回しかなく、参考値です。方向を当てにいくより、選挙が動きやすい時期だと知っておくのが現実的。(過去検証であり、売買を勧めるものではありません)
| わかること | わからないこと |
|---|---|
| 投開票翌営業日に方向の偏りがあったか | 次回の選挙で上がるか下がるか |
| 選挙の直前に上がりやすかったか | どの政党・政策が勝つか |
| 普段より値動きが大きかったか | 個別銘柄の売買タイミング |
| 過去にどう構えるべきだったか | 将来の利益 |
検証方法
- 対象:日経225の日次終値(Yahoo Finance ^N225・調整後)。集計期間は1990〜2025年(約1万営業日)。
- 選挙:衆議院総選挙の投開票日12回(1990〜2024年)を対象(参院選・地方選は除く)。投開票日は総務省・各選管の公表日(公知)。
- 測るのは2つ。①投開票日の「翌営業日」リターン(結果を受けた反応)と、②投開票日までの直前10営業日(約2週間)の累積リターン(選挙前の地合い)。
- 比較対象:同期間の全営業日(n≈10,070)。方向(平均・中央値・勝率)と振れ(平均変動幅)を分けて報告します。
- ⚠️ 衆院選は20年で12回しかなく、統計的に少標本(参考値)です。本検証は平均・中央値・勝率の比較であり、有意性を保証するものではありません。
結果①:投開票の「翌営業日」は方向が読めない
| 対象 | 平均 | 中央値 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 衆院選 投開票の翌営業日(n=12) | +0.15% | −0.31% | 42% |
| 参考:全営業日(n≈10,070) | +0.02% | +0.05% | 52% |
平均こそ+0.15%ですが、中央値は−0.31%・勝率42%と、むしろ普段(勝率52%)より下振れ気味で、方向はまちまちでした。「選挙の結果が出れば一方向に動く」という偏りは、翌営業日には見当たりません。ただし直近4回(2012・2017・2021・2024年)はいずれも翌営業日がプラス(+0.94%/+1.11%/+2.61%/+1.82%)でした。これはアベノミクス以降の上昇相場という地合いの影響が大きく、「選挙だから」という効果と切り分けられません。1990〜2009年はマイナスの回が多く、12回中プラスは5回どまりです。
結果②:むしろ「選挙の前」が上がりやすかった
| 対象 | 平均 | 中央値 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 投開票までの直前10営業日(約2週間)の累積(n=12) | +1.06% | +1.00% | 67% |
面白いのはこちらです。投開票までの直前2週間(10営業日)は、12回中8回がプラス・平均+1.06%と、普段の同じ期間(おおむね+0.2%前後)より上がりやすい傾向が出ました。「選挙ラリー」と呼ばれるものがあるとすれば、その正体は結果が出た後ではなく、結果を期待して買われる"事前"の局面だった、という読み方ができます。ただしこれもn=12の参考値で、売買の根拠にできる強さではありません。
結果③:投開票翌日は「振れ」がやや大きい
| 対象 | 平均変動幅(絶対値) |
|---|---|
| 投開票の翌営業日 | 1.20% |
| 全営業日 | 1.00% |
方向は読めない一方、値動きの振れは普段の約1.2倍でした。結果が予想と違えば大きく動く「動く日」ではあるものの、上下どちらに動くかは事前のカレンダーからは読めません。
| やること | 理由 |
|---|---|
| ① 投開票の結果で方向を当てにいかない | 翌営業日は中央値−0.31%・勝率42%とまちまち。結果後の方向は読めない |
| ② 「選挙ラリー」があるとすれば"事前"と知る | 上がりやすかったのは投開票前の2週間(勝率67%)。ただしn=12の参考値で過信しない |
| ③ 翌日は振れがやや大きい、注文の誤発動に注意 | 平均変動幅は普段の約1.2倍。逆指値や短期注文が意図せず約定しないか確認 |
衆院選は「結果で一方向に動く」イベントではありませんでした。上がるとすれば結果後より"事前"寄り——とはいえ12回の参考値です。方向を当てるより、動きやすい時期だと知って構えるのが現実的です。
結論:選挙アノマリーがあるとすれば「事前」、結果後はまちまち
「選挙で株が上がる」という通説は、衆院選12回(1990〜2024年)で見ると、投開票の"後"ではなく"前"に当てはまりやすいものでした。投開票翌営業日は方向がまちまち(中央値−0.31%・勝率42%)で、直近4回がプラスなのは上昇相場という地合いの影響が大きい。一方、投開票前の2週間は勝率67%とやや上がりやすく、これが「選挙ラリー」の正体に近いと考えられます。ただし衆院選は12回の少標本=参考値であり、売買ルールとして扱える強さではありません。なお2027年に予想される選挙は消費税減税が争点として意識されていますが、政策の中身が相場に効くかどうかは、過去の「選挙日アノマリー」とは別の話です。
基準日:2026年6月28日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:株価データはYahoo Finance(日経225 ^N225・日次・調整後終値、1990〜2025年)。衆院選の投開票日は総務省・各選挙管理委員会の公表日(衆院選12回・参院選/地方選は除く)。集計=当サイト(scripts/analyze_election_anomaly.py)。衆院選は12回の少標本であり参考値。