ファクター検証2026-06-15 公開

バリューとモメンタムを混ぜると最強か——日本では「分散は効くが勝てない」

逆相関のバリューとモメンタムを組み合わせれば、単独より滑らかで強くなる——海外で知られる「バリュー+モメンタム」の妙を日本で試した。たしかに分散でブレは最小になる。だがモメンタムが弱すぎて、リスクあたりのリターンはバリュー単独に届かない。分散は効くが、勝てるわけではない。

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「逆相関の2つを混ぜれば最強」——日本でも?

運用の世界に有名な考え方がある。バリュー(割安株を買う)とモメンタム(上昇中の株を買う)は逆相関で、効く局面が違う。だから両方を組み合わせれば、どちらか単独より滑らかで強くなる——AQRのClifford Asnessらが繰り返し示してきた「バリュー+モメンタム」の妙だ。

日本のバリューモメンタムでも、この組み合わせは効くのか。生存バイアスのない Fama-French 日本(1990-2026・米ドル建て)で確かめた。

たしかに逆相関、たしかにブレは下がる

まず日本でも、バリュー(HML)とモメンタム(WML)の相関は−0.21と negative。片方が不調のとき、もう片方が補う関係はある。50/50で混ぜた結果がこれだ。

戦略年率リターン年率ボラ(ブレ)リターン÷リスク
バリュー単独(HML)+4.8%10.8%0.45
モメンタム単独(WML)+1.3%14.5%0.09
50/50 ブレンド+3.1%8.1%0.38

ブレンドのブレ(ボラ)は8.1%と、バリュー単独(10.8%)・モメンタム単独(14.5%)のどちらより小さい。逆相関を混ぜたことで値動きが滑らかになる——分散効果そのものは本物だ。

バリュー(HML)・モメンタム(WML)・両者50/50ブレンドの年率リターンとブレ(年率ボラ・米ドル建て・1990-2026)。ブレンドはボラ8.1%と単独より小さく分散効果は本物。だがモメンタムが弱い日本では、ブレンドのリターン/リスクはバリュー単独に届かない。出典:Kenneth R. French、当サイト作図。
バリュー(HML)・モメンタム(WML)・両者50/50ブレンドの年率リターンとブレ(年率ボラ・米ドル建て・1990-2026)。ブレンドはボラ8.1%と単独より小さく分散効果は本物。だがモメンタムが弱い日本では、ブレンドのリターン/リスクはバリュー単独に届かない。出典:Kenneth R. French、当サイト作図。

だが「勝てる」わけではない——弱い側が足を引っ張る

ところが、リスクあたりのリターン(リターン÷リスク)を見ると、ブレンド0.38は、バリュー単独0.45に届かない。理由は単純で、日本ではモメンタムが弱すぎる(単独でリターン÷リスク0.09)。強いバリューに弱いモメンタムを混ぜれば、ブレは下がってもリターンも薄まり、効率はむしろ落ちる。

米国でバリュー+モメンタムが「1+1>2」になるのは、両方が単独で強いからだ。片方(モメンタム)が機能しない日本では、その前提が崩れる。早見表で見たとおり、日本で頑健に効くファクターはバリューだけ——分散の理屈は正しくても、混ぜる相手がいない。

持ち帰り:分散は「弱いものを足す言い訳」にしない

「逆相関だから分散になる」は正しい。だが分散はブレを下げるだけで、弱い戦略を強くはしない。リターンの薄い要素を「分散のため」と足すと、ブレと一緒にリターンも薄まる。組み合わせる相手は、それ自体が報われる見込みのあるものを選ぶ——これは個別株のポートフォリオにも通じる教訓だ。

まとめ

基準日:2026年6月15日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:Kenneth R. French データライブラリ「Japan HML」「Japan Momentum Factor (WML)」(2026年4月版・米ドル建て・月次)。1990年11月〜2026年4月(n=426)。リターンは月次平均×12、ボラは月次標準偏差×√12、相関・ブレンドは当サイト算出。生存バイアスなし。過去の傾向であり将来を保証せず、投資助言でもありません。基準日2026-06-15

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