アノマリー検証2026-06-12 公開

大発会は本当に上がるのか——日経225の40年で年始・年末アノマリーを検証

「大発会(新年最初の取引日)はご祝儀相場で上がりやすい」とよく言われます。本当にそうだったのか、日経225の40年分の日次データで、年始(大発会・年初5営業日)と年末(大納会)のアノマリーを検証しました。

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検証方法

結果:40年で見ても「ご祝儀相場」はごく弱い

指標平均中央値勝率
大発会(年の初日)+0.20%+0.27%52%
大納会(年の最終日)-0.08%-0.06%42%
年初5営業日(累積)-0.46%-0.31%40%
大発会・大納会・年初5営業日の平均リターン(40年)。
大発会・大納会・年初5営業日の平均リターン(40年)。

「大発会はご祝儀相場で上がりやすい」とよく言われますが、40年の平均では+0.20%・勝率52%と、コイン投げ(50%)とほとんど変わりません。むしろ年初の最初の5営業日は平均-0.46%・勝率40%と、ややマイナスに沈みがちでした。大納会も平均で小幅マイナスです。

さらに——直近10年の大発会はむしろ下落寄り

2016〜2025年平均中央値勝率
大発会-0.38%-1.06%30%

直近10年だけを取り出すと、大発会の平均は-0.38%・勝率30%で、10年のうち7年が下落でした。「新年の初日は上がる」という感覚は、近年はむしろ逆になっています。

結論:大発会のご祝儀相場は「ほぼ気のせい」

大発会の上昇は40年平均でもごくわずか(+0.20%・勝率52%)で、統計的に「上がりやすい」と言える強さはありませんでした。年初5営業日はむしろマイナス、直近10年の大発会は明確に下落寄りです。「ご祝儀相場だから買い」という根拠で年始に動くのは、過去データの裏づけが乏しいと言えます。

これは当サイトが繰り返し示してきた通り、有名なアノマリーほど効果が薄く、時期によって逆転します。アノマリーは「過去にそういう傾向があったかもしれない」という記録であって、未来を保証する法則ではありません。

「上がるのは初日でなく、下がるのは年初の1週間」——通説は方向を取り違えている

この検証で一番意外なのは、「大発会は上がる」という通説そのものではなく、大発会(+0.20%・勝率52%)より年初5営業日(-0.46%・勝率40%)のほうが、符号も勝率もはっきり悪いという点です。ご祝儀相場という言葉は「年の初日」に注目を集めますが、40年の記録が語っているのはむしろ「年初の最初の1週間は沈みがち」というほぼ逆の事実でした。ここには年をまたいだ需給の入れ替わりが効いていると読めます。大発会の小幅な戻りは、年末の大納会(平均-0.08%・勝率42%)で手仕舞い売りが出たあと、新年の初日に持ち高を組み直す動きが一度に出て、行って来いの「来い」の側が最初に顔を出す、という見方ができます。ところがその後の数日は、年始のご祝儀ムードが剥がれ、実際の売買が戻ってくると、割高感のある銘柄から利益確定売りが出やすい。初日は前年末の手仕舞いの反動、年初5営業日はムードが剥がれたあとの現実的な売り——性格の違う2つの力が前後して働くから、初日がプラスでも週で見るとマイナスに沈む、と整理できます。もっとも、これはデータの並びに合う筋書きの一つであって、因果を証明したものではありません。とりわけ直近10年の大発会は平均-0.38%・勝率30%と、初日の戻りすら消えています。「新年は買いから」という感覚は、近年はむしろ逆に振れていた、と読むのが正直なところです。効かない看板もそのまま記録するのが当サイトの方針で、「大発会は上がる」という広く知られた通説ほど、40年の記録に照らすと看板ほどの中身がない——これもまた一つの正直な結果です。

この+0.20%を「ご祝儀で買い」と読むのは誤り(最悪ケースの読み方)

大発会の+0.20%・勝率52%を見て「初日は買っておけば取れる」と機械的に組むのは危険です。まず勝率52%は「ほぼコイン投げ」であって、10年やっても5年前後しかプラスで終わらない見込みだということです。平均+0.20%も、大きく上げた年が全体を持ち上げているだけかもしれず、どの年も一様に+0.20%ずつ上がるわけではありません。そして忘れてはいけないのがn=40という標本の小ささです。大発会は年に一度しか観測できないので、40年かけても40個しかサンプルが貯まらない。同じ「40年」でも日次の任意区間なら1万件近い標本が取れるのと比べ、この種の年次アノマリーはきわめて心もとない土台の上に立っています。アノマリーは「傾向の説明」には使えても、「毎年これで張れば勝てる」という機械的トレードの根拠にはならない——これがこの1本の最大の持ち帰りです。しかも直近10年に絞ると大発会は勝率30%(10年で7年下落)。40年平均のわずかな上振れは、近年の下振れに完全に打ち消されています。区間の切り方ひとつで結論の符号が変わるほど不安定な数字を、売買ルールの土台に据えるのは筋が悪い、と言えます。数字は平均の話であって、あなたが張る「その1年」の話ではありません。

同じ検証を、他の季節アノマリーで自分で再現する

この記事の価値は「大発会の答え」そのものより、どんなカレンダー・アノマリーにも当てられる手順にあります。GW明け、配当権利落ち、月末月初——巷の「◯月は弱い/強い」を、次の型でそのまま自分で検証できます。

この3点が揃って初めて、季節アノマリーは「なんとなくそう聞く」から「自分で確かめた数字」に変わります。ゴールデンウィーク明け配当権利落ちも、まったく同じ手順で分解した姉妹記事です。1本の結論を覚えるより、この型を持ち帰るほうが、カレンダーのどの月でも役に立ちます。

基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:株価データはYahoo Finance(日経225 ^N225・日次・調整後終値)

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