統計検証2026-06-12 公開

野菜の値段と株価——青果の高騰は外食・スーパー株に効くか

野菜が高くなると、原価がかさむ外食やトマト加工の株は逆風、名目の売上が増えるスーパーは追い風——そんな連想は自然です。野菜価格は外食・加工のコストとスーパーの売価に直結するからです。そこで生鮮野菜の価格(消費者物価指数の品目別・全国・月次・1970年〜)のYoYを、外食のサイゼリヤ・ゼンショー、スーパーのイオン・ライフ、野菜加工のカゴメの株価YoYと突き合わせ、通説「野菜が高いと外食株は下がる」を検証しました。

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検証方法と、データの注意点

銘柄の選び方と、事前の仮説(判定前に固定)

野菜価格は外食・加工のコストスーパーの売価に直結します。そこで野菜の使用量が大きい外食2社(サイゼリヤ・ゼンショー)、生鮮を多く扱うスーパー2社(イオン・ライフ)、野菜加工=トマトに直結するカゴメの計5社を選びました。

判定する前に、こう予想しました——野菜の高騰は、外食・加工にとってはコスト逆風=逆相関(仕入れが上がると利益が圧迫される)。一方、スーパーは生鮮を値上げして売るため名目売上が増えやすく=弱い正相関。つまり「野菜が高いと外食株は下がる」という通説が、データで裏付けられるかを見ます。いずれも判定前に固定した仮説です。

結果:外食は弱い逆相関、スーパーは弱い正相関。ただし、どれも基準未満

銘柄r(COVID除外)ラグ
ライフコーポレーション 8194(スーパー)+0.182ヶ月
サイゼリヤ 7581(外食)+0.14同月
ゼンショーHD 7550(外食)-0.096ヶ月
イオン 8267(スーパー)-0.095ヶ月
カゴメ 2811(野菜加工)-0.065ヶ月
生鮮野菜価格(CPI)と各銘柄の株価YoYの相関(COVID除外)。最大でもライフ+0.18止まりで当サイトの目安|r|≧0.4には届かず。外食(サイゼリヤ・ゼンショー)は弱い逆相関、スーパーは弱い正。野菜高騰は株価に効かなかった。
生鮮野菜価格(CPI)と各銘柄の株価YoYの相関(COVID除外)。最大でもライフ+0.18止まりで当サイトの目安|r|≧0.4には届かず。外食(サイゼリヤ・ゼンショー)は弱い逆相関、スーパーは弱い正。野菜高騰は株価に効かなかった。

符号は、おおむね仮説どおりでした。スーパーのライフ(+0.18)・イオン(同月では弱い正)と、外食のゼンショー(-0.09)・加工のカゴメ(-0.06)は、それぞれ「スーパーは正・外食/加工は逆風」という事前の読みに沿っています。ところが強さがまったく足りません。最も大きいライフでも+0.18で、当サイトの基準(|r|≧0.40)の半分にも届かないのです。サイゼリヤは同月で+0.14ですが、ラグを4ヶ月まで延ばすとフル期間では-0.15に符号が反転するなど、安定しません。

コロナ期を含めたフル期間で見ても結論は変わりません。ライフ+0.20(ラグ1ヶ月・n=292)が全体の最大で、サイゼリヤ-0.15・ゼンショー-0.08・イオン-0.06・カゴメ-0.03。コロナ除外と大きくは変わらず、コロナ暴落・回復の引っ張りによる見かけの相関でもありません(窓を変えてもヘッドラインは動きませんでした)。5銘柄すべてで|r|<0.40です。

なぜ「野菜高騰で外食株が下がる」と言い切れないのか(考えられる理由)

結論:「野菜が高いと外食株が下がる」は、過去データでは確認できなかった

生鮮野菜の価格(CPI)と、外食・スーパー・野菜加工の5銘柄の株価は、符号こそ「スーパー=弱い正・外食/加工=弱い逆相関」と事前の仮説どおりに並びましたが、強さは最大でもライフの+0.18〜0.20どまりで、当サイトの目安|r|≧0.40には遠く届きませんでした。野菜の高騰は、外食株のコスト逆風としても、スーパー株の追い風としても、株価のシグナルになっていないというのが正直な結論です。なお今回は卸売価格が単一の長期月次系列として取れず、店頭価格(CPI)で代用した点はご留意ください。当サイトの方針どおり、効かなかった結果もそのまま記録します。

基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:生鮮野菜価格は消費者物価指数(総務省/e-Stat 統計表0003427113・2020年基準 品目別価格指数・中分類「生鮮野菜」・全国・月次)、株価はYahoo Finance(調整後終値)

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