銘柄深掘り2026-06-13 公開
機械受注×日立の0.46は本物か——新発見ペア3本を5年刻みで分解する
当サイトの機械受注辞書に銘柄を追加したところ、日立製作所(6501)×機械受注 r=+0.46を筆頭に、三菱電機(6503)+0.42・伊藤忠商事(8001)+0.41という新しいペアが見つかりました。3本とも全期間でもコロナ除外でも|r|≧0.4——当サイトの基準では『過去連動あり』の頑健ペアです。でもオークマやパーソルで見たとおり、全期間のrは窓に割って初めて正体が分かります。深掘り第9弾は、この新発見3本をまとめて5年刻みで分解しました。
検証方法
- 内閣府「機械受注(船舶・電力を除く民需)」月次のYoYと、各銘柄の株価YoYの同月相関
- データのある2007年以降を5年刻みの窓に区切って個別に計算(直近窓は2022年〜2026年3月のn=51で参考値)
- 辞書の数字(全期間・コロナ除外)は再計算して一致を確認してから窓を出しています
結果:3本とも『リーマン前後が頂点、直近は消失〜逆転』
| 期間 | 日立 | 三菱電機 | 伊藤忠 |
|---|---|---|---|
| 2007〜2011年 | +0.79 | +0.59 | +0.55 |
| 2012〜2016年 | +0.37 | +0.51 | +0.41 |
| 2017〜2021年 | +0.42 | +0.01 | +0.15 |
| 2022〜2026年 | -0.15 | +0.14 | -0.23 |

3銘柄とも、頂点はリーマン・ショックの暴落と回復を含む2007〜2011年(日立+0.79・三菱電機+0.59・伊藤忠+0.55)でした。設備投資が崖から落ち、株価も同時に崖から落ちた——この大振れの共振が各銘柄のrを押し上げています。そして直近の窓(2022年〜)では日立-0.15・伊藤忠-0.23と符号が逆転し、三菱電機も+0.14までしぼみました(n=51の参考値)。日立だけは2017〜2021年も+0.42と粘っていますが、この窓はコロナの暴落・回復を含んでおり、これも大振れの共振と切り分けられません。パーソル×有効求人倍率で見た『危機の振れが全期間を押し上げる』構図が、3銘柄同時に出た形です。
『コロナ除外でも頑健』はリーマンを除いていない
| 銘柄 | 全期間 | コロナ除外 |
|---|---|---|
| 日立製作所(6501) | +0.46(n=240) | +0.43(n=216) |
| 三菱電機(6503) | +0.42(n=240) | +0.44(n=216) |
| 伊藤忠商事(8001) | +0.41(n=240) | +0.43(n=216) |
当サイトは『コロナ期(2020〜2021年)を除いても効くか』を頑健性の目安にしてきました。この3本はコロナ除外でも+0.43前後あり、その意味で確かに頑健です。ただ今回はっきりしたのは、コロナ除外はリーマン(2008〜2009年)を除いていないということ。リーマンの共振で稼いだ相関は、コロナを除いた数字にもそのまま残ります。『全期間とコロナ除外の両方で高い=いつでも効く』と読むのは早とちりで、大振れの時期がもう一つ(リーマン)ある以上、窓に割らないと正体は見えません。
結論:新発見の頑健ペアも、窓に割れば『リーマンの遺産』だった
機械受注×日立0.46・三菱電機0.42・伊藤忠0.41は、いずれもリーマン前後の大振れに支えられた数字で、直近5年はゼロ〜弱い逆相関でした。総合電機や商社は事業が多角化しており、機械受注という単一統計への感応がいつまでも続くほうが不思議——専業の工作機械ほど機械受注に効くという当初の検証結果とも整合します。辞書の銘柄ページにはこれらのrがそのまま載っていますが、全期間のrは『過去にそういう時期があった』という記録であって、いまも効いている保証ではありません。効いた窓も消えた窓も、当サイトはそのまま記録します。
当サイト自身の『頑健性の合格印』に空いていた穴(メカニズム)
この検証で一番効いてほしくない事実は、当サイトが頑健性のふるいに使ってきた「コロナ除外でも効くか」というテストが、この3本では機能していなかったという点です。日立・三菱電機・伊藤忠はコロナ除外でも+0.43前後を保ち、その意味で確かに合格印が付きます。ところが5年窓に割ると、頂点はコロナではなくリーマン・ショック前後(2007〜2011年)——日立+0.79・三菱電機+0.59・伊藤忠+0.55。設備投資が崖から落ち、株価も同時に崖から落ちた、この大振れの共振がrを押し上げていました。つまりコロナ(2020〜2021)を除いても、リーマン(2008〜2009)はそのまま残る。危機の共振で稼いだ相関は、片方の危機を除いた数字にちゃんと生き残ってしまうのです。「全期間とコロナ除外の両方で高い=いつでも効く」と読むのは早とちりで、大振れの時期がもう一つ(リーマン)ある以上、コロナ除外は頑健性の証明になりません。実際、直近窓(2022年〜)では日立-0.15・伊藤忠-0.23と符号が逆転し、三菱電機も+0.14までしぼみました。総合電機や商社は事業が多角化しており、機械受注という単一統計への感応がいつまでも続くほうが不思議——専業ほど効くという結果とも整合します。頑健性テストは「除いた危機」の外にもう一つ危機がないかまで確かめて初めて機能する、というのがこの3本の教訓です(因果を証明したものではありません)。
同じ『危機の遺産』を、自分で見抜く3ステップ
この記事の値打ちは「日立の答え」より、“両窓で頑健”に見える相関の裏に、除き残した危機がないか確かめる手順にあります。次の型でそのまま確かめられます。
- ①コロナ除外で満足せず、5年窓に全部割る——コロナ除外はリーマンを除きません。窓に割って頂点がどの危機に乗っているかを名指しで特定してはじめて、頑健性が本物か分かります。
- ②直近窓の符号を単独で見る——3本とも直近はゼロ〜逆相関でした。全期間・コロナ除外がどれだけ高くても、直近窓が崩れているなら「いま」効いている保証はありません。
- ③事業の『多角化度』を連動の寿命に重ねる——単一統計に効き続けるのは専業銘柄。総合電機・商社のように多角化した会社ほど、単一指標への感応は薄れます。事業構造が連動の持続力を決めます。
この3点が揃って初めて、辞書の1行は「両窓で頑健」から「除き残した危機まで確かめた数字」に変わります。機械受注×オークマやパーソル×有効求人倍率も、まったく同じ手順で分解した姉妹記事です。1本の結論を覚えるより、この型を持ち帰るほうが、辞書のどのページでも役に立ちます。
この記事の3銘柄、毎年1月に買っていたら?
機械受注と連動するこの3銘柄を、毎年1月に買って1年保有(2005〜2025年)。全199社を等金額で持つ「市場平均」に勝てた年数です。
| 銘柄 | 市場平均に勝った年 |
|---|---|
| 伊藤忠商事 | 17/21年 |
| 日立製作所 | 12/21年 |
| 三菱電機 | 12/21年 |

連動の強い・弱いで並べても、勝った年数はバラバラ。3銘柄の平均は約13.7/21年=市場と互角かそれ以下で、「連動が強いから買えば勝てる」は成り立ちませんでした。連動が効くのは“買い時”ではなく、持ち株がこの3銘柄のように同じ動きへ偏っていないかの点検(→全体の実証/自分で試す)。
過去の記録であり将来を保証しません(投資助言ではありません)。
基準日:2026年6月13日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:機械受注は内閣府「機械受注統計(船舶・電力を除く民需・原系列)」月次、株価はYahoo Finance(調整後終値・月次)。相関は当サイト算出(同月・YoY)。辞書の数字(全期間+0.46/+0.42/+0.41・コロナ除外+0.43/+0.44/+0.43)は再計算で一致確認済み。2022年以降の窓はn=51の参考値。基準日2026-06-13 [一次データ:機械受注統計調査↗]