銘柄深掘り2026-06-12 公開

高相関ペアの寿命——機械受注×オークマの相関は時期によってどう変わったか

機械受注×オークマ(6103)は、20年・240ヶ月でr=+0.44——当サイトの連動辞書で最も頑健とされてきた看板ペアです。しかし「20年の平均」は「今も効いている」を意味しません。5年刻みに分解して、この連動の現在地を点検しました。

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検証方法

結果:相関は一方向に崩れ、直近は逆転

期間相関 rn
2005〜2009年+0.6445
2010〜2014年+0.3660
2015〜2019年+0.2060
2022〜2025年-0.6148
参考:全期間(2005〜2025)+0.44237
高相関ペアの寿命——機械受注×オークマの相関は時期によってどう変わったかを表すグラフ
5年刻みの相関。+0.64から一貫して弱まり、2022-25年は-0.61と逆転。

リーマン・ショック前後(2005〜2009)には+0.64と強烈に連動していたペアが、5年ごとに+0.36→+0.20と弱まり、直近の2022〜2025年はついに-0.61の逆相関になりました。機械受注が弱いのに株価が上がる(またはその逆)が常態化しています。

なぜ崩れたのか(仮説・断定はしません)

結論:全期間の r を鵜呑みにしない

このペアは当サイトの辞書で「過去連動あり」の筆頭ですが、その実態は「かつて強く効いた遺産がまだ平均を支えている」状態でした。連動辞書を使うときは、全期間のrだけでなく直近窓の数字を必ず併読してください。当サイトは効かなくなった看板も、そのまま記録します。

受注→利益→株価の「橋」は、どこで外れたのか

そもそもこのペアが効くとされたのは、受注 → 数四半期後の売上・利益 → 株価という橋が通っていたからです。工作機械は受注から売上計上まで時間差があるため、受注の増減はオークマの将来利益の先行サインになりうる——これが+0.64(2005〜2009)を生んだ根拠でした。橋がきれいに架かっていた時期です。

では2022〜2025年の-0.61で、橋のどこが外れたのか。段ごとに見ると崩れ方がはっきりします。入口(統計→受注)——国内の「機械受注(船舶・電力除く民需)」はオークマの海外受注を映しません。実需は中国・北米が大きく、国内統計が弱くても海外受注で利益は伸びうる。入口の統計が実需を代表しなくなった、というズレです。出口(利益→株価)——工作機械株が半導体・防衛・省人化という「テーマ」の器として買われるようになり、目先の受注より数年先の物語で値が動くようになった。橋の材料(会社の利益)は同じでも、入口の統計が実需とずれ、出口の株価が別の物語で動く。この2点が重なると、同じ会社・同じ事業でも相関は平気で反転します。符号反転は「連動が壊れた」のではなく、「統計と株価の間をつなぐ橋の前提が変わった」と読むのが正確です。

この符号反転を、投資家としてどう読むか(最悪ケースの読み方)

-0.61を「逆張りサイン(受注が悪ければ買い)」と読むのは危険です。相関は因果ではなく、48ヶ月という短い窓の数字は次の窓で簡単に変わります。実際、右の「毎年1月に買っていたら」を見ると、20年で市場平均に勝てたのは6/21年(約29%)。連動が強かった前半も弱かった後半も込みで、タイミングを固定した単純な買いは市場平均に届きませんでした。つまり「相関が強い=買えば勝てる」でも「符号が反転した=逆に張れば勝てる」でもない。連動辞書は勝ち馬を当てる道具ではなく、自分の持ち株が同じ一つの指標(ここでは設備投資・機械受注)に偏っていないかを点検する地図として使うのが正しい向きです。これがこの1本の最大の持ち帰りです。

同じ点検を、他のペアで再現する3ステップ

この記事の価値は「オークマの答え」そのものより、誰でも同じ手順で確かめられる型にあります。連動辞書のどのペアにも、次の3ステップがそのまま使えます。

この3点が揃って初めて、相関は「たまたま」ではなく「次も同じ型で探せる」知識になります。機械受注×日立花王×訪日客も、同じ手順で分解した姉妹記事です。1本の結論を覚えるより、この型を持ち帰るほうが、辞書のどのページでも役に立ちます。

公開データだけで、自分で再現するには

この検証は特別なツールを使っていません。同じ手順を無料の公開データでたどれます。①機械受注は内閣府・e-Statの「機械受注統計調査」から「船舶・電力を除く民需」の月次系列を取り、前年同月比(YoY)に直す。②オークマ株価はYahoo Financeなどで6103の月末終値を取り、同じくYoYに直す。③相関は両系列を月で突き合わせ、5年ごとの窓に区切ってピアソン相関を計算する——表計算ソフトのCORREL関数で十分です。ひとつだけコツがあります。生の株価と生の受注額をそのまま相関させると、両方が長期で右肩上がりというだけの「見せかけの相関」が高く出てしまう。だから必ずYoY(変化率)に直してから測る。窓をずらして符号が変わるかどうかまで見て、初めて辞書の1行が「自分で確かめた数字」になります。数字の作り方をそろえておけば、来年データが1年ぶん増えたとき、同じ手順で更新して「橋がまた架かり直したか」を自分で判定できます。

この記事の主役・オークマ、毎年1月に買っていたら?

オークマを毎年1月に買って1年保有(2005〜2025年)。全199社を等金額で持つ「市場平均」に勝てたのは 6/21年でした。

オークマを毎年1月に買って1年持った場合の成績(緑=プラスの年・赤=マイナスの年・青線=市場平均)
緑=市場平均(青線)を超えた勝ち年・赤=負け年。6/21年=市場と互角以下でした。

連動が強い時期も弱い時期もありましたが、「連動が強いから買えば勝てる」は成り立ちません。連動が効くのは“買い時”ではなく、持ち株が同じ指標へ偏っていないかの点検(→全体の実証自分で試す)。

過去の記録であり将来を保証しません(投資助言ではありません)。

基準日:2026年6月12日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。

出典:機械受注はe-Statダッシュボード(船舶・電力除く民需)、株価はYahoo Finance(調整後終値)。窓別相関は当サイト算出 [一次データ:機械受注統計調査↗]

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