確認できず2026-06-10 公開

「段ボールが売れればEC株が上がる」は本当か——8年分のデータで検証した

段ボール出荷量は「景気の鏡」と呼ばれ、EC(通販)の荷動きを映す先行指標だ——投資の世界でよく聞く連想です。本当にそうなのか、公開データで確かめました。

検証方法

結果:8銘柄すべてで相関なし

銘柄最良ラグ相関係数(全期間)COVID除外
アスクル 26782ヶ月-0.28-0.36
レンゴー 39416ヶ月-0.19-0.22
王子HD 38612ヶ月0.14-0.01
ZOZO 30921ヶ月0.140.03
楽天グループ 47551ヶ月0.130.04
MonotaRO 30646ヶ月-0.110.03
SGHD 91436ヶ月-0.11-0.06
ヤマトHD 90646ヶ月-0.11-0.14

相関係数の目安として±0.4以上を「連動あり」と事前に定義していましたが、全銘柄が±0.3未満。段ボール製造そのものであるレンゴーですら連動が確認できないという結果でした。

段ボール生産量YoYと各銘柄株価YoYのラグ別相関係数(全期間)

なぜ効かないのか

考えられる説明は2つあります。第一に、段ボール需要の構成です。全段連の部門別統計を見ると、段ボールの主要用途は加工食品をはじめとする食品関連で、通販・宅配向けは一部にとどまります。EC荷動きのシグナルは食品需要の安定した大きな波に埋もれてしまうと考えられます。第二に、株価の月次変動は市場全体の動き(金利・為替・地合い)に強く支配されており、単一の業界統計が説明できる部分はもともと小さいことです。

結論

「段ボールが売れればEC株が上がる」という連想は、少なくとも月次データの相関としては確認できませんでした。段ボール統計は景気全体の荷動きを示す指標としての価値はありますが、通販・物流の個別株を判断する材料としては根拠が弱い、というのが本検証の結論です。連想は、データで選別してから使う必要がありそうです。

基準日:2026年6月10日。相関は因果関係を保証しません。本記事は統計データの検証結果を示すもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

出典:全国段ボール工業組合連合会 統計資料/株価データはYahoo Finance(月次・調整後終値)

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