相関の寿命2026-06-14 公開
村田と半導体指数、一度離れて戻った——相関の寿命 第5号(村田製作所×SOX)
村田製作所(6981)×フィラデルフィア半導体指数(SOX)は、基本的に連動する組み合わせです。全期間(2005年1月〜2026年6月・n=294)の同月相関はr=+0.666——電子部品大手と半導体業界のサイクルが歩調を合わせるのは自然な話です。
しかしその全期間+0.666の裏に、2015-2019というほぼ無相関の時期が隠れています。5年窓でみると、この期間の相関は+0.049——事実上ゼロです。その前後の窓が+0.8台であることを考えると、この「離脱」は際立っています。
2020以降、連動は+0.827→+0.917(2025-26参考値)と密連動に復帰しています。なぜ離れ、なぜ戻ったか——相関の寿命シリーズ第1〜4号(崩壊→復活・符号反転・フェード・死なない)に続く第5の型「離脱→復帰」を示します。
全期間の相関:r=+0.666(n=294)
フィラデルフィア半導体指数(^SOX)と村田製作所(6981)株価、いずれも前年同月比(YoY)で揃え、2005年1月〜2026年6月(n=294)の同月相関を測るとr=+0.666。
これはSOX×半導体株(全期間版・東エレ+0.86)で確認した村田製作所の全期間相関と同じ数字です。しかし5年窓に割ると、この+0.666の裏に大きな変動が隠れています。
5年窓ごとの相関:+0.05まで離脱、+0.92で復帰
| 期間 | 相関 r | 局面 |
|---|---|---|
| 2005-2009 | +0.809 | 半導体サイクルと連動 |
| 2010-2014 | +0.603 | 連動 |
| 2015-2019 | +0.049 | 一時的に離脱(ほぼ無相関) |
| 2020-2024 | +0.827 | 密連動に復帰 |
| 2025-2026 | +0.917 | さらに強化(n=18・参考値) |
出典:フィラデルフィア半導体指数(^SOX)・村田製作所(6981)株価とも Yahoo Finance(月次・前年同月比)。相関は当サイト算出(同月相関・5年窓)。2025-2026窓はn=18で参考値。

36ヶ月ローリング相関:min −0.08 〜 max +0.93
36ヶ月(3年)の移動窓で相関を計算すると:
- 最大:+0.93(2020年以降の密連動局面)
- 最小:−0.08(2015-19離脱期の最低点。わずかに負だが符号反転と呼ぶほどではない)
- 標準偏差:0.27(第2号ソニー0.54・第3号コマツ0.41より小さい変動幅だが、5年窓での離脱は明確)
36ヶ月窓では−0.08まで下がる局面があり、完全に中立に近い状態でした。しかし5年窓の+0.049は「離脱期があった」という構造的な変化を示す数字です。
なぜ2015-19に離脱したか(見立て)
2015-19の村田×SOXがほぼ無相関になった理由の見立てです(当サイトの見立て・断定ではありません):
- 村田がスマートフォン部品の波に乗っていた時期:2015-19の村田製作所は、スマートフォン向けのMLCC(積層セラミックコンデンサ)・フィルタ等の売上比率が高く、Apple等スマホメーカーの調達サイクルに業績が強く引っ張られていました。SOXが追う半導体「製造装置・ウエハー」のサイクルとは、波のタイミングがズレた時期です(見立て)。
- SOX全体が動いても村田は別の波で動いた:SOXは主にロジック半導体・メモリの製造・設備投資サイクルを映します。村田のMLCCはスマホの機種サイクル(iPhone新型に左右される等)で動く。2015-19はその二つのサイクルがたまたまズレた期間だった——というのが見立てです。
この見立ては推測であり、断定ではありません。単純に時期的な偶然がある可能性も否定できません。
2020以降に復帰(+0.83→+0.92)
2020年以降、連動は+0.827(2020-24)→+0.917(2025-26・n=18参考値)と密連動に戻ります。この復帰の見立て:
- 半導体需要が全方位化した:車載・データセンター・AI・IoTと半導体の用途が多様化し、スマホ偏重だった時代とは異なる市場に村田も展開。SOXが映す半導体全体のサイクルと、村田の電子部品サイクルが再び一致し始めた(見立て)。
- 村田自身の事業多様化:村田はスマホ向けMLCCに加え、車載・通信インフラ向けの部品比率を高めてきました。結果として「半導体需要全体の波」と連動しやすい事業構成になった、という見立てです。
2025-26の+0.917はn=18の参考値であり、「密連動に定着した」とは断定しません。ただし現時点では強い正連動の傾向が見られます。
5つ目の「寿命の型」——離脱→復帰
「相関の寿命」シリーズに、5つ目の型が加わりました:
- 第1号トヨタ(崩壊→復活):コロナ・半導体不足という外部ショックによる一時崩壊。事業モデルの本質は変わらず、ショック後に復活。
- 第2号ソニー(符号反転):ハード輸出からコンテンツ複合体への事業変化で相関の符号が反転・定着。
- 第3号コマツ(ブーム→フェード):中国建機市場という市場の構造変化と事業分散でフェード。
- 第4号三井物産(死なない):資源権益×資源国通貨という構造が変わらず、20年間符号反転なし。
- 第5号村田製作所(離脱→復帰):スマホ部品サイクルが主だった2015-19に+0.05まで離脱、全方位半導体需要の2020以降に+0.83以上へ復帰。
相関は切れても、事業と指標の関係が戻れば復活する——これが第5号の示す景色です。第1号トヨタの「崩壊→復活」が外部ショックによる一時的な断絶なら、第5号村田は「市場サイクルのズレによる離脱→再連動」という異なるメカニズムです。
基準日:2026年6月14日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:フィラデルフィア半導体指数(^SOX)・村田製作所(6981)株価とも Yahoo Finance(月次終値・前年同月比)。全期間 2005年1月〜2026年6月(n=294)。36ヶ月ローリング相関と5年窓の同月相関は当サイト算出(YoY×YoY同月・36ヶ月移動相関と5年窓)。2025-2026窓はn=18で参考値。相関は過去データの傾向を示すもので、将来を保証・予測するものではありません。基準日2026-06-14