相関の寿命2026-06-15 公開
サイト最強の連動に寿命はあるか——SOX×東京エレクトロンは25年ずっと+0.85だった
当サイトが調べた中で最も強い連動は、SOX(半導体指数)×東京エレクトロンの+0.856だった。だがこのシリーズは「全期間の単一のrは平均の幻になりうる」と繰り返し示してきた。トヨタは崩壊し、ソニーは符号反転し、京成はコロナ共振だった。では最強のこの+0.86も時期を割ると正体が変わるのか——25年を時系列で解剖したら、シリーズで初めて『一度も崩れない線』が出た。
サイト最強の連動——でも「最強」は続くのか
当サイトが調べた中で最も強い連動は、SOX(フィラデルフィア半導体指数)×東京エレクトロン(8035)のr=+0.856(25年・n=306)だった。「半導体株はSOXを見ろ」は本当だ、という結論である。
だがこのシリーズ『相関の寿命』が繰り返し見てきたのは、全期間の単一のrは「平均の幻」になりうるということだった。トヨタは崩壊して復活し、ソニーは符号が逆転し、京成の高い相関はコロナ共振の幻だった。では、サイト最強のこの+0.86も、時期を割ると正体が変わるのか。時系列で解剖した。
5年窓で割っても、一度も崩れていない
| 期間 | 相関 r | 局面 |
|---|---|---|
| 2000-2004 | +0.855 | ITバブル崩壊後 |
| 2005-2009 | +0.895 | リーマン前後 |
| 2010-2014 | +0.782 | 相対的に最も緩い窓 |
| 2015-2019 | +0.901 | スマホ・データセンター期 |
| 2020-2024 | +0.852 | コロナ→AI期 |
| 2025-2026 | +0.946 | AIブーム(n=18・参考値) |
出典:SOX・東京エレクトロン(8035)とも前年同月比。相関は当サイト算出(同月相関・5年窓)。2025-2026窓はn=18で参考値。
これが、このシリーズで初めて見る景色だ。どの5年窓も+0.78〜+0.95に収まり、一度も崩れていない。第1〜3号(トヨタ・ソニー・コマツ)は窓ごとに+0.9から逆相関まで暴れた。最も「死なない」とされた第4号・三井物産×豪ドル円でさえ、コロナ期に+0.41まで弱まった。だがSOX×東京エレクトロンは、ITバブル崩壊もリーマンもコロナもAIブームも貫いて、ずっと+0.8前後を保っている。

36ヶ月ローリング:振れ幅std0.11——シリーズで最も静かな線
3年移動窓で相関を追うと、min+0.38(2013年5月)〜max+0.96(2010年3月)。標準偏差は0.11——これは、この「相関の寿命」シリーズで見てきたどのペアより圧倒的に小さい。比較すると、ドル円×日経はstd0.60、ドル円×ソニーはstd0.54で、相関が−0.8から+0.9まで波打っていた。SOX×東京エレクトロンの線は、25年間ずっと+0.4の連動ラインの上に張りつき、ほとんど揺れない。グラフにすると、他のシリーズが心電図なら、こちらはほぼ一直線だ。
唯一やや緩んだのが2012〜2013年ごろ(ローリング最小+0.38)。当時はSOX自体が停滞局面だったうえ、日本株がアベノミクスの円安相場で為替主導に傾いた時期で、半導体サイクルとは別の力で東京エレクトロン株も動いた——という見立てができる(断定ではない)。それでも+0.38は「連動が消えた」水準ではなく、最も弱った瞬間ですら、他の多くのペアの全盛期に匹敵する。
なぜ死なないのか:三井物産とは別の理由
第4号で「三井物産×豪ドル円が死なない」のは、三井の主力が鉄鉱石・石炭・LNGの資源権益で、豪ドルがその資源国通貨だから——同じ市況が両者を同時に動かす、という構造だった。SOX×東京エレクトロンの不死には、それとは少し違う、より根本的な理由がある(見立て)。
- 東京エレクトロンは「SOXに反応する株」ではなく「SOXの中身そのもの」:SOXは世界の半導体企業で構成される指数で、東京エレクトロンは世界トップクラスの半導体製造装置メーカー。半導体の設備投資サイクルが回れば装置が売れ、止まれば売れない。SOXが測っている『世界の半導体サイクル』が、そのまま東京エレクトロンの業績そのものだ。指標に「さらされている」のではなく、指標を「構成している」側にいる。
- 事業が一本足:トヨタ(為替・販売・EV)やソニー(ゲーム・映画・金融)は事業が多角化し、円安や半導体以外の力で株価が動く余地が大きい。だから相関が時期で剥がれる。東京エレクトロンは半導体製造装置のほぼ専業で、株価を動かす要因が半導体サイクルにほぼ集約される。余計な変数が少ないほど、連動は崩れにくい。
- AIブームで強まったわけでもない:AI前(〜2022・n=264)はr=+0.858、AI期(2023〜・n=42)は+0.826と、ほぼ同じ。京成の+0.72が「コロナという特定イベントの産物」だったのに対し、こちらは特定のブームに依存せず、ずっと同じ強さ。これも構造連動の証拠だ。
念のため言えば、ここで見たのは相関であって因果ではないし、「東京エレクトロン株はSOXで予測できる」という話でもない。両者は同月一致(lag0)で動くので、SOXを見てから東京エレクトロンを買っても先回りはできない。言えるのは「世界の半導体指数と、その中核装置メーカーの株は、25年間ほぼ一体で動いてきた」という事実だけだ。
第8の型:「不死——指標の構成要素である連動」
「相関の寿命」シリーズは、連動の生まれ方・壊れ方を型で整理してきた。第8号は、シリーズで最も死なない連動の決定版だ。
- 第1号トヨタ:崩壊→復活(外部ショック)
- 第2号ソニー:符号反転(事業構造変化)
- 第3号コマツ:ブーム→フェード(市場の構造変化)
- 第4号三井物産:死なない(資源権益という根っこ)——ただしコロナ期に+0.41へ弱化
- 第5号村田:離脱→復帰(市場サイクルのズレ)
- 第6号 日経平均:崩壊→復活の指数版
- 第7号 京成:共振の幻(コロナで生まれた見かけの連動)
- 第8号 東京エレクトロン:不死——25年・どの窓も+0.78〜+0.95、std0.11。三井物産の「死なない」をさらに上回る安定。理由は、東京エレクトロンが半導体サイクルに『さらされている』のではなく、半導体サイクルを『構成している』側にいるから。
第4号で「相関が続くかは、会社の根っこがその指標と直結しているかで決まる」と結論した。第8号はその極北だ——会社が指標の構成要素そのものであるとき、連動はほとんど死なない。逆に言えば、トヨタやソニーのように事業が広がり、指標から半分外に出ている会社ほど、相関は時期で生き死にする。
まとめ
- SOX×東京エレクトロンの全期間相関は+0.856(25年・n=306)でサイト最強。これは「平均の幻」ではなく、どの5年窓も+0.78〜+0.95と本物だった。
- 36ヶ月ローリングのstdは0.11——サイトで最も振れの小さい線。最弱でも+0.38(2013年)で、連動が消えた瞬間はない。
- 不死の理由(見立て):東京エレクトロンは半導体サイクルに反応する株ではなく、SOXが測る半導体サイクルそのものを構成する専業メーカーだから。
- ただし同月一致(lag0)なので先回りはできない。相関≠因果。
基準日:2026年6月15日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:SOX(フィラデルフィア半導体指数)・東京エレクトロン(8035)株価とも前年同月比(Yahoo Finance・月次・調整後終値)。全期間 2001年〜2026年(n=306)。5年窓・時代窓・36ヶ月ローリング相関は当サイト算出。2025-2026窓はn=18で参考値。両者は同月一致(lag0)で先行関係ではありません。相関は過去の傾向で将来を保証しません。基準日2026-06-15