相関の寿命2026-06-14 公開
20年死なない連動——相関の寿命 第4号(三井物産×豪ドル)
相関の寿命シリーズ第1〜3号は「連動が死ぬ話」だった。トヨタ(崩壊→復活)、ソニー(符号反転)、コマツ(ブーム→フェード)——どれも「かつて効いた連動がなぜ変わったか」を追いました。
第4号は逆の話です。三井物産(8031)×豪ドル円(AUDJPY)は、全期間(2005年1月〜2026年5月・n=259)の同月相関r=+0.739。そして5年窓ごとに割っても+0.41〜+0.94と常に正で、20年間一度も符号が反転していない。36ヶ月ローリング相関はmin−0.21〜max+0.97(std0.30)と波はあるが、「死なない連動」です。
なぜ死なないのか——三井物産の根っこが資源にある限り、豪ドルとの連動は構造的に続くというのがこのデータが示す景色です。第4号は、シリーズの対照として「相関が続く条件」を問います。
全期間の相関:r=+0.739(n=259)
豪ドル円(月次終値)と三井物産(8031)株価(月次終値)、いずれも前年同月比(YoY)で揃え、2005年1月〜2026年5月(n=259)の同月相関を測るとr=+0.739。
これは豪ドル円×資源株(全期間版)で確認した数字と同じです。三井物産は総合商社の中でも豪ドル円との連動が最も強いペアです。
5年窓ごとの相関:+0.41〜+0.94、常に正
| 期間 | 相関 r | 局面 |
|---|---|---|
| 2005-2009 | +0.857 | 資源ブーム |
| 2010-2014 | +0.704 | 連動維持 |
| 2015-2019 | +0.789 | 連動維持 |
| 2020-2024 | +0.414 | 弱まるが正を維持 |
| 2025-2026 | +0.940 | 再強化(n=18・参考値) |
出典:豪ドル円・三井物産(8031)株価とも Yahoo Finance(月次終値・前年同月比)。相関は当サイト算出(同月相関・5年窓)。2025-2026窓はn=18で参考値。

36ヶ月ローリング相関:min −0.21 〜 max +0.97
36ヶ月(3年)の移動窓で相関を計算すると:
- 最大:+0.97(資源ブーム期の極めて強い正連動)
- 最小:−0.21(コロナ期の一時的な乱れ——わずかに負だが符号反転と呼ぶほどではない)
- 標準偏差:0.30(第2号ソニー0.54・第3号コマツ0.41と比べて小さい変動幅)
min−0.21は36ヶ月窓での最小値です。5年窓では全期間で正を維持しており、「符号反転なし」という見立ての根拠は5年窓テーブルです。36ヶ月窓での一時的な−0.21は「弱まった局面があった」と読みますが、「逆相関に転じた」とは断定しません。
なぜ死なないか(見立て)——構造が変わらないから
三井物産×豪ドル円が20年連動し続けている理由の見立てです(当サイトの見立て・断定ではありません):
- 三井物産の根っこが資源にある:三井物産の主力収益源は鉄鉱石・石炭・LNG等の資源権益です。これらは豪ドル建ての資源価格(オーストラリアは鉄鉱石・石炭の主要輸出国)で動く。同じ資源市況が豪ドルと三井物産の収益を同時に動かすという構造が連動の源です。
- 豪ドル自体が資源国通貨:豪ドルはオーストラリアの主力輸出品(鉄鉱石・石炭・LNG)の市況に敏感に反応する「コモディティ通貨」。資源が上がれば豪ドルも上がり、三井物産の権益収益も増える——この二重の連動が+0.739という強相関を生み出している見立てです。
- トヨタ・ソニーと何が違うか:第1号トヨタは外部ショック(コロナ・半導体不足)で一時崩壊。第2号ソニーはハード輸出からコンテンツ複合体への事業構造変化で符号反転。第3号コマツは中国建機市場の縮小という市場構造変化でフェード。三井物産は「資源権益を主力とする商社」という事業の根っこが20年変わっていない——だから連動が続く(見立て)。
会社の根っこ(事業構造)がその指標と直結している限り、相関は続く——これが第4号の見立てです。
波はある(死なない≠一定)
2020-24の+0.414は、5年窓で最も弱い局面です。コロナ禍では資源需要も商社株も、通常とは異なる動きをしました(見立て)。しかし「正を維持した」という点が重要です。
2025-26の+0.940(n=18・参考値)は再強化を示しています。「強弱の波はあるが向きは変わらない」——これが「死なない連動」の実態です。「死なない」は「完全に一定」の意味ではなく、「20年間符号が反転せず常に正だった」という意味にとどめます。
4号時点で4類型が出そろった
「相関の寿命」シリーズは第4号までで、相関の変化パターンの4類型が出そろいました(その後も第5号「離脱→復帰」、第6号「指数版」と続きます):
- 第1号トヨタ(崩壊→復活):外部ショック(コロナ・半導体不足)による一時崩壊。事業モデルの本質は変わらず、ショック後に復活。
- 第2号ソニー(符号反転):ハード輸出からコンテンツ複合体への事業変化で相関の符号が反転・定着。
- 第3号コマツ(ブーム→フェード):市場の構造変化(中国建機需要の縮小)と事業の分散でフェード。
- 第4号三井物産(構造的・死なない):事業の根っこ(資源権益)が指標(豪ドル)と直結している限り、20年変わらず連動し続ける。
相関が続くかどうかは「会社の根っこがその指標と直結しているか」で決まる——これが4号までを通じてシリーズが到達した見立てです。第1〜3号の問い「なぜ連動が死んだか」の答えが、第4号の「なぜ連動が死なないか」と鏡になっています。さらに第5号SOX×村田製作所では一度離れた相関が戻る「離脱→復帰」型、第6号ドル円×日経平均では同じ分析を指数レベルへ広げています。
基準日:2026年6月14日。本記事は過去データの傾向を示すもので、将来の値動きを予測・保証するものではなく、投資助言でもありません。アノマリー・相関は時期によって効果が変わります。数字の読み方もあわせてご覧ください。
出典:豪ドル円・三井物産(8031)株価とも Yahoo Finance(月次終値・前年同月比)。全期間 2005年1月〜2026年5月(n=259)。36ヶ月ローリング相関と5年窓の同月相関は当サイト算出。2025-2026窓はn=18で参考値。相関は過去データの傾向を示すもので、将来を保証・予測するものではありません。基準日2026-06-14