市場の俗説・都市伝説を、一次データで検証する
「ペンタゴンのピザが売れると有事」「不況だと口紅が売れる」「大型IPOは天井のサイン」——世界中で語られる、もっともらしい相場の俗説。当サイトはそれをニュースや感覚でなく、一次データで淡々と検証します。効いても効かなくても、そのまま載せます。特別コラムとして随時追加していきます。
「百貨店統計なら百貨店株に効くはず」を専業4社で再実測
業態別の百貨店販売額×百貨店専業4社。ラグ0〜6・全期間/コロナ除外・両方向まで走査しても、連動ゲート|r|≧0.4に届いたのは三越伊勢丹のコロナ除外・同月+0.425の1マスだけ。全期間は最強でも+0.302、松屋は+0.160でほぼ無相関、4社バスケットも+0.292止まり。小売業販売額×8銘柄(retail-sales-stocks)の続編で、業態をそろえても効かなかった。
否定「ペンタゴンのピザが売れると有事」
地政学リスク指数×防衛株6銘柄・41年。重工はゼロ近辺、防衛専業でも+0.29止まり。リスクの水準では防衛株は動かなかった。
符号が逆「男性下着指数」と「不況だと口紅が売れる」
グリーンスパンの俗説2つを家計調査26年で実測。下着は景気の体温計ですらなく、口紅はむしろ景気と順相関=伝説と符号が逆。
むしろ逆「大型IPOは天井のサイン」
NTT〜キオクシアの超大型IPO7件の後、日経は12ヶ月で平均+21.6%(普段+6.2%)。下げたのは日本郵政の1件だけ。
日本では別「逆イールドは景気後退の先行指標」
米国名物を日本で37年実測。逆イールドは実質バブル期に一度だけで、海外の名指標も日本に直輸入はできない。
後追い「銘柄名でなく商品名の検索を見ろ」
ユニクロ・ニトリ等のGoogle検索×株。最大ニトリ+0.33で先行例なし、むしろ株が動いてから検索が増える。
当たり外れ「大ヒット映画で東宝株」は本当か
映連の興行収入統計(2004-2025・東宝配給426作)×東宝(9602)株。月次の連続相関はほぼゼロ(同月+0.07)、メガヒット公開月の超過リターンは向きこそプラスでも非有意。史上最大の鬼滅・無限列車(407億)の公開月はむしろ−3.8%(対日経)=話題は先に織り込まれ先回りには使えない。
否定「猛暑でビール株」
気温でも熱中症搬送者数でも猛暑関連株は動かない二重実証。唯一の例外は伊藤園+0.28。
否定「段ボールが売れればEC株」
段ボール生産×EC・物流8銘柄。製造のレンゴーすら連動せず、当サイトの看板仮説が実測で否定された。
一部だけ「インバウンド株」はどこまで本当か
訪日客×14社。京成・ドンキは効くが直近n=28の短窓、サンリオ等は無関係。ラベルだけの『インバウンド株』は半分外れ。
効かない「月次が出たら先回り」は本当か
ユニクロの公式月次売上×ファストリ株を8年96ヶ月で実測。コロナ除くと同月+0.05でほぼ無相関、月次が株を安定先行する関係もなし。月次は事業の温度計で株の予言装置ではない。
効かない「月次が出たら先回り」第2弾——マクドナルドでも効かなかった
外食の王者マクドナルドHD(2702)の月次既存店売上×株価をn=41ヶ月で実測。同月ほぼゼロ(+0.012)・月次先行なし。ユニクロに続き2社連続で通説支持されず。
株が先行「月次が出たら先回り」第3弾——サイゼリヤは株が月次を半年先行していた
サイゼリヤ(7581)の月次既存店売上×株価をn=44ヶ月(参考値)で実測。月次→株の最良は同月+0.195どまり。逆に株→月次の方向でlag6が+0.593——株価が月次を半年先行する後追い構造。3社連続で通説支持されず。
否定「航空貨物量は景気の先行指標」を実測した
e-Stat航空輸送統計の貨物重量×5銘柄・18年(2006-2024年3月・n=201)。どの銘柄も貨物が株を先行する関係はなく、平時(コロナ除外)は海運2社と同月+0.47前後で一致するだけ。ANAの連動はコロナの共振・ヤマトHDは逆相関。先行指標ではなく一致指標(温度計)だった。
一致・窓長の罠「インフレで商社・素材株」は長期では本当——でも直近5年は逆相関に見える
企業物価指数×8銘柄・25年(n=305)。長期では商社が同月+0.4前後で連動(丸紅+0.44/三井物産+0.43)。ただし先行ではなく一致。直近5年だけ見ると伊藤忠-0.45など符号が逆転——同じデータでも窓の長さで真逆の結論が出る「窓長の罠」の決定版。
量と為替は別の顔「輸出が伸びれば輸出株」——「量」で測るとトヨタと日産で倍の開きが出る
輸出数量指数(内閣府 景気動向指数 一致C10)×8銘柄・25年(n=304)。日産+0.54・ファナック+0.48・丸紅+0.48と実需の輸出量は商社・機械・日産に連動。しかし同じ「輸出関連」でもトヨタは+0.25と倍の開き——トヨタは量でなく為替(ドル円+0.545)で動く。「輸出株」も中身は別の顔。
銘柄で違う「日本株は日本金利で動く」——半分だけ正しい
米10年金利×日本株8銘柄・最長64年。国内銀行(みずほ+0.57・三井住友+0.61)は日本金利が優位。グロース(キーエンス)は日本金利に無反応(+0.04)なのに米金利には+0.27。「日本金利か米金利か」を銘柄ごとに分けて見る必要がある。全て同月(先行でない)。
日本では効かない「金が上がれば金鉱株」は日本では成立しない
住友鉱山+0.21・三菱マテリアル+0.09・DOWA-0.02とほぼ無相関。同じ銘柄が金より銅で大きく動く(住友鉱山 銅+0.62)。日本に純金鉱株は乏しく、金に乗るなら株でなく金ETF(1540 +0.83)。
時差の罠と+0.37の壁「BTC関連株でBTCに乗れる」——同日+0.06の謎と時差補正後も残る+0.37の壁
メタプラネット(3350)ですら同日相関+0.06。BTCは24時間取引・日本株は日中のみで、大半の値動きは市場閉鎖後に起きる。BTC前日→翌日で補正すると+0.37まで回復するが、それが壁。NAVプレミアム乱高下・増資希薄化が残りの原因。金鉱株と同じ「原資産プレイが原資産を映しきらない」構造。日次n=537・週次n=115。
相関の寿命「円安=トヨタ高」はいつ効いて、いつ壊れたか
全期間r=+0.545だが、これは「平均の幻」。5年窓では2010-14のアベノミクス期+0.886→2020-24はわずか+0.173に崩壊。36ヶ月ローリングでは一時-0.48の逆相関まで落ちた。相関は生き物で効く時期と死ぬ時期がある——時系列で可視化する新シリーズ第1号。n=314・基準日2026-06-14。
相関の寿命「円安=ソニー高」が逆相関に変わった日
全期間r=+0.375だが、これは正負が行き来した「平均の幻」。5年窓では2005-19の+0.73前後が2020-24に−0.666に符号反転——単なる崩壊でなく逆転が定着。36ヶ月ローリングではmin−0.82〜max+0.90(std0.54=サイト最大級)。事業構成がハード輸出からコンテンツ複合体に変わり相関が逆転した。第2号。n=306・基準日2026-06-14。
相関の寿命中国とコマツの蜜月は終わったか
全期間r=+0.594は「最盛期の遺産」。2010-19に+0.79→+0.87とバキバキ連動(中国が建機の最大市場)したが、2020-24は+0.461に低下、直近2025-26は−0.626(n=18・参考値)と逆相関気味。中国不動産不況と事業分散でフェードした第3の型「ブーム→フェード」。n=306・基準日2026-06-14。
相関の寿命20年死なない連動——三井物産×豪ドル
全期間r=+0.739(n=259)・5年窓では+0.41〜+0.94と20年間符号反転なし。第1〜3号(崩壊/反転/フェード)と対照的な「死なない連動」。三井物産の資源権益が豪ドル建て資源に直結する構造が変わらない限り、連動は続く。シリーズの結論=相関が続くかどうかは会社の根っこがその指標と直結しているかで決まる。n=259・基準日2026-06-14。
通説が外れた「燃料が上がれば〇〇株」は本当か——空運・ガス会社は無相関、海運は逆に+0.56
JAL-0.051・ANA+0.082と空運は原油にほぼ無相関(逆相関すら出ない)。東京ガス+0.053・大阪ガス+0.071とガス会社も効かない。同じ原油でも海運(日本郵船+0.564・商船三井+0.524)は強い正連動。「コストを使う側」は転嫁・ヘッジ・燃料費調整で吸収される。原油n=212。全lag0=同月。
相関の寿命村田と半導体指数、一度離れて戻った——第5号
全期間r=+0.666(n=294)だが、2015-19は+0.049とほぼ無相関に離脱。スマホ部品サイクルが主だった時期にSOXとタイミングがズレた。2020以降は全方位半導体需要の拡大で+0.827→+0.917(n=18・参考値)と密連動に復帰。相関は切れても、事業と指標の関係が戻れば復活する——第5の型「離脱→復帰」。n=294・基準日2026-06-14。
相関の寿命「円安=株高」は指数で見ると半分ウソ——第6号
ドル円×日経平均の全期間同月相関はr=+0.300(n=345・1997-2026)と平凡。だが5年窓に割ると2000-04は−0.668(逆相関)、2005-19は+0.78〜+0.84で鉄板連動、2020-24は−0.268で崩壊、2025-26は+0.813で復活(n=18・参考値)。36ヶ月ローリングは−0.86〜+0.96(std0.60=サイト最大)。最も有名な通説「円安=株高」を指数レベルで分解した、第1号トヨタの市場全体版。基準日2026-06-14。
新規上場・暫定キオクシアはSOXと連動するか——上場1.5年・日次の暫定値
2024年末上場のキオクシア(285A)は前年同月比n=7で月次辞書(n≥24)に載せられない。そこでBTC記事と同じ日次リターン+時差補正で暫定計測。日次同日は+0.044(時差の罠)、SOX前日→翌日で+0.324、週次+0.389。だが同じ窓の東京エレクトロン+0.555/アドバンテスト+0.472より明確に低く、NANDメモリ市況の独自性でSOX連動は中位以下。上場1.5年・n343の暫定値で確度は限定的。2027年頃に月次で正式検証予定。